結論を出さずに世界を維持し続けるヒロイン「大空カオリ」の魅力『サザエさん』
「大空カオリ」と言われても、「中島弘」と同じくらい誰の事だかピンと来ないのではないのでしょうか(早川さんのようにフルネームが無いよりは良し?)。カツオのクラスメートであり、女子三人組のマドンナ的存在「カオリちゃん」の事です。トレードマークは大きいリボン。リボンの柄も結構変わるので、カオリちゃんファン(?)としては、そこも要チェックポイントでしょう。
かわいいのがカオリちゃん
カツオは身の程もわきまえず(?)に、「かわいいのがカオリちゃん、性格が良いのが早川さん」などと勝手に格付けをおこなっていました(残る一人が聞いたらどうなる事やら・・・)。カオリちゃんもそんなカツオの気持ちを知ってか知らずか、まんざらでもない態度を取る事も。ある時には「パパを説得して」など、やたら現実味のある要求をした事もあります。ちなみに、お父さんの声はアナゴさんと同じ若本さんです。
昭和の憧れの女の子
カオリちゃんの家は結構裕福な設定です。しかも可愛く基本的には性格も鷹揚(おうよう)で優しいと言えます。現実にはお金持ちで可愛いとなると、そうでない子への配慮が及ばない「ちびまる子ちゃん」の城ヶ崎さんのようになるケースも少なくないでしょう。
しかし、サザエさんが支持される深層構造は、“終わりなき日常の停滞”であると指摘した人がいました。『ちびまる子ちゃん』が現実の子供の世界を暴く作品とすれば、『サザエさん』は“波風の立たない世界が続く事”が大事なのです。カオリちゃんも、そのような世界観の中で、決して波風の立たないクラスの憧れの女の子として存在し続けるのかもしれません。カツオの気持ちを知っていながらも、イエスでもノーでもなしに受け流す事こそ、この世界全体の「日常」を保つ上ではもっとも重要なのです。仮に彼女がOKしてしまったら、花沢さんとの勝負がついてしまいます。誰もが真実に気付かずに過ごす事が幸せな世界・・・。ここは見滝ヶ原市だったのでしょうか(驚愕)・・・。