①まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」

まどか「マミさん、この子は?」
マミ「アラジンっていう子なんだけど……異世界から来たみたいなの」
さやか「こんな小さいのに、大変だねー」
マミ「きっとすごく怖い思いをしたと思うわ。ずっと私から離れないもの」
アラジン(おっぱい……おっぱい……)モミモミモミモミ
杏子(騙されてるぞ、マミ……)
アラジン「ここは、一体……?」
目が覚めると、アラジンは異様な空間の中にいた。
アラジン(確か自分の部屋のベッドで寝たはずなのに、靴も履いてるし杖も持ってる……一体どうして)
アラジン(とりあえず、ここがどういう場所か、状況を確認しよう)
巨大なお菓子、浮遊する小瓶。
現実離れした空間は、かつて彼が探検した迷宮にどこか似ていた。
アラジン(少し探索してみよう。ここにいたんじゃ、何もわからないし……)
異常事態にも知らない場所の探索にも慣れている。
アラジンはその空間の探索を始めた。
アラジン「!?」
歩き始めて、すぐの事だった。
アラジンの足元に、首の無い死体が転がっていた。
アラジン(これは……)
アラジンが死体に気を取られた一瞬、巨大な何かがアラジンに襲い掛かってきた。
アラジン「しまった!」
アラジンが慌てて杖を構えた、その時だった。
??「――ティロ・フィナーレ!!」
4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:11:45 ID: RgsWFa3I
アラジンを襲った何かは、目の前で爆発し、炎上した。
アラジン(今の……魔法?)
少女「大丈夫だった?」
アラジンに向かって、黄色い巻き髪の少女が駆けてきた。
少女「声も出ないのね、かわいそうに……でももう大丈夫よ」
アラジン「………………………」
少女はなかなかの巨乳の持ち主であった。
アラジンは声を出すのも忘れ揺れる乳を凝視する。
アラジン「あっ、そ、そうだ!ここは学院の中なのかい?マグノシュタットの……」
少女「がくいん……?まぐの、しゅたっと……?ごめんなさい、分からないわ」
アラジン「うーん、そっか。僕はどうやら、また遠くに飛ばされてしまったみたいだ」
アラジン「ここは、一体どこなんだい?」
少女「ここ……?ここは日本の、見滝原よ」
アラジン「ミタキハラ?うーん、聞いた事ない名前だなあ……」
??(マミ、もう出てきて大丈夫かな?魔女は撃退したのかい?)
その時、アラジンの頭の中に、少年のような声が響いた。
5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:14:16 ID: RgsWFa3I
キュゥべぇ「マミ、後ろ!魔女だ!」
マミは振り返る。
鋭い牙が並んだ大きな口が、マミの目の前にあった。
少女「!」
アラジン「――ハルハール・インフィガール!」
アラジンが杖を掲げると、巨大な火柱が上がった。
魔女「ギャァァァァァァァ!!」
大きく開けた口の中に火柱を打ち込まれた魔女は、内側から燃え盛る。
キュゥべぇ「こ……これは……」
少女「魔法……?まさか貴方も、魔法少女なの……?」
キュゥべぇ「いや、違う。こんな子と契約した覚えなんてないよ、彼は一体」
アラジンは倒れていた。
少女「ど、どうしたの!?まさか、さっきの魔法でケガを……」
アラジン「お、おねえさん……どうやら……僕は……」
アラジン「魔法を使って……おなかがすいてしまったようだよ……」
アラジンは、そのまま意識を失った。
6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:16:13 ID: RgsWFa3I
キュゥべぇ「マミ。彼をどうするんだい?」
少女「どうしたもこうしたも……このまま結界の中に残しておくわけにもいかないし」
少女「とりあえず鹿目さんと美樹さんに頼んで、私の家まで運んでもらおうかしら」
キュゥべぇ「君は、どうするんだい?」
少女「後で合流するわ。その前に……」
少女「同じ魔法少女として、しないといけないことがあるの」
少女は、巨大なドーナツの陰を見つめた。
7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:22:30 ID: RgsWFa3I
少女「私の名前は巴マミ。さっきも言ったけど、魔女と戦う魔法少女」
マミ「私達魔法少女は、願いを叶えてもらうことを条件にキュゥべぇと契約する」
マミ「そしてその『契約』によって『ソウルジェム』という宝石を生み出すの」
マミ「ソウルジェムは魔力の源なの。これがなければ魔法は使えないわ」
マミ「それなのに魔法が使える、貴方はいったい……って、人の話聞いてるかしら」
アラジン「え?コレ、とってもおいしいよ!おねえさん!」
青髪の少女「聞いてないじゃん」
桃髪の少女「マミさんのケーキ、おいしいから……」
マミ「そこまで美味しそうに食べてくれるなんて、作った側として光栄だわ。でも」
アラジン「僕が魔法を使えるのは生まれつきさ。生まれながらにしてルフに愛されているからね」
アラジン「もっとも、使えるようになるまでに、若干の練習は必要だったけど……」
アラジンは、少し悲しげに微笑む。
マミ「生まれつき魔法が使える?それに……ルフ?貴方は一体……」
アラジン「『ルフ』っていうのは、僕の世界のあらゆるエネルギーの根源さ。魔力の源でもある」
アラジン「そして、僕はアラジン。魔法使いさ!」
8 : 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2013年12月31日 (火) 23:25:27 ID: DQ/dK6Ow
このアラジンはどの時期のアラジン?学院に入りたて?戦争前?
9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:25:46 ID: RgsWFa3I
青髪の少女「魔法使い……ってなんなんですかマミさん!魔法少女とは違うんですか?」
マミ「美樹さん、落ち着いて……それが、私にも分からないのよ」
桃髪の少女「マミさんにも分からないなんて……」
アラジン「二人は、魔法少女じゃないのかい?」
マミ「そうよ。この二人は見習いなの。こちらが美樹さんで、こちらが鹿目さん」
青髪の少女「あたしは美樹さやか。まあ……とりあえず、よろしく」
桃髪の少女「えっと、わたしは……鹿目まどか、です」
マミ「二人には魔法少女の素質があるんだけど、契約するのを迷っているの」
マミ「願いは叶えてほしいけど、魔女と戦うって言われてもピンとこないでしょ?」
マミ「だから、魔法少女として戦うってどういうことか知ってから契約してほしくて」
さやか「だからまどかと一緒にマミさんの魔女退治を見学してたら、アラジンを見つけたってワケ」
アラジン「二人は契約をしていないから、まだ魔法が使えないんだね?」
まどか「う、うん。まだ使えないよ……」
アラジン「僕が知っている魔法と、君達の魔法は、根本的に異なるみたいだね」
キュゥべぇ「そうみたいだね。そのことについてだけど、ひとつ……心当たりがあるんだ」
10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:33:20 ID: RgsWFa3I
>>8
今放映しているアニメの続きくらい(コドル1になった後、ティトスに出会う前)を想定しています。
1月5日までに終わらせられたらいいなと。
でもまどマギキャラとの絡み主体なので、あまり学院での話は出せないかもしれません……
11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:40:50 ID: RgsWFa3I
キュゥべぇ「それをまどかやさやか、アラジンに話して何の意味があるんだい?」
マミ「魔法少女になろうとする者にとって、重要なことだと思うわ」
マミ「契約して、戦い続けた魔法少女が……どのような最期を迎えることになるのか」
キュゥべぇ「分かった。マミがどうしても話してほしいと言うのなら、仕方ないね」
キュゥべぇ「そうだね。最初、僕がその少女の前に現れたとき、彼女はとても喜んでいた」
キュゥべぇ「『私が魔法少女になれるなんて、夢みたいだ』……って」
まどか「……!」
キュゥべぇ「彼女は願いなんていらないって言ったけど、それでは困るからね」
キュゥべぇ「悩んだ末に彼女はこう言ったよ。『漫画やアニメみたいな魔法少女になりたい』」
キュゥべぇ「『ピンチになったら新しい仲間が助けに来てくれたり、新しい魔法が使えたりする』」
キュゥべぇ「『そんな、希望に満ち溢れた物語の主人公になりたい』ってね」
マミ「でも……」
キュゥべぇ「彼女はある魔女を討伐するため結界に入った。しかし、魔女は強過ぎた」
キュゥべぇ「そして彼女の願い『ピンチになったら新しい仲間が助けに来てくれる』は叶った」
キュゥべぇ「『異世界から、他の魔法使いを召喚する』という形でね」
12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2013年12月31日 (火) 23:43:41 ID: RgsWFa3I
アラジン「僕が到着するのが……遅すぎたんだね……」
マミ「アラジン君……」
キュゥべぇ「そこから先はマミ、君が見た通りさ」
まどか「マミさん……どうなったんですか!?」
マミ「アラジン君は間に合わなかった。彼女は魔女に……殺されたわ」
マミ「遺体はとても酷い状態だった……私でさえ、目をそむけたほどだったもの」
マミ「この酷い遺体が彼女の友達や家族……大切な人に見つかるなんて、耐えられなかった」
マミ「でも結界の中に置き去りにすれば、彼女の大切な人達は永遠に彼女を探し続ける」
マミ「だから私は……遺体に出来る限りの修復をして、結界の外に置いておいたの」
マミ「明日にはきっとニュースになるわ。この話が真実がどうかはそれで分かるはずよ」
まどか「そ、そんな……そんなのってないよ、あんまりだよ……」
さやか「まどか……」
泣きじゃくるまどかの背中を、さやかが優しくさすってやる。
マミ「残酷な話を聞かせてごめんなさい、鹿目さん。辛かったでしょう。でも……」
まどか「はい、わたし……わかりました……魔法少女になるって……どんなことか
13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 01:12:18 ID: S3RFjBDA
マミ「鹿目さんも美樹さんも、帰ってしまったけれど……」
チーズケーキの皿と紅茶のカップを片付けながらマミは言った。
日も暮れ、すっかり夜だ。
マミ「アラジン君はどうするの?行くところ、ないんでしょ?」
アラジン「そうだね……元の世界に帰る方法も分からないし……」
アラジン「だからマミおねえさんが良ければ、しばらくここに置いてくれると嬉しいな」
マミ「え、ええ、構わないわよ。この家には私一人だから許可を取るような人もいないし、ね」
アラジン「そうかい。ありがとう、マミおねえさん」
マミ「え、ええ……ずいぶん冷静なのね、アラジン君は」
アラジン「遠くに飛ばされたのは、初めてじゃないからね。僕の世界での話だけどさ」
アラジン「その時も大事な友達と別れて一人で心細かったけど、親切な人達に出会えたんだ」
マミ「大変だったのね……」
アラジン「そうでもないよ。目の前の事に精一杯で、必死に駆け抜けてきただけだからね」
マミ「そういうのを大変だったって言うのよ。せめてこの世界では、ゆっくり休んでね」
アラジン「うん。分かったよ、マミおねえさん」
マミ「今日は色々あったし、ちょっと早いけどもう寝ましょうか」
14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 01:13:21 ID: S3RFjBDA
マミ「ごめんなさいねアラジン君。二人で一つのベッドは狭いでしょう」
アラジンとマミは、同じベッドで横になっている。
アラジン「ううん、こうしてみんなで一つのベッドに寝るの、久しぶりだよ」
アラジン「前はよく友達二人と一つのベッドに寝てたんだ。その時を思い出すよ」
マミ「そう?だったら、よかったわ」
マミ「アラジン君冷静にふるまってるけど、本当はとても不安で怖いんじゃないかと思って」
マミ「だから眠るとき一人だったら、辛いんじゃないかと思ったの」
マミ「魔法少女になって、初めて魔女と戦った時の私もそうだったわ」
マミ「あの異様な空間に放り込まれて、死ぬ思いをして……一人で眠るのがとても怖かった」
マミ「だから同じ思いをしたアラジン君の傍には、私がいてあげなくちゃと思ったんだけど」
マミ「アラジン君、下の世界でそういうのに慣れているのね。余計なお世話だったかしら」
アラジン「ううん……マミおねえさんは優しいね」
アラジン「でも、今日は疲れたから寝ることにするよ……おやすみなさい……」
マミ「ええ。おやすみなさい、アラジン君」
マミ「これから、よろしくね」
15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 01:14:37 ID: S3RFjBDA
チュウ…チュウ…
マミ(何かしら……何か、胸の辺りに、違和感が……)
マミ(すっごく、気持ち悪い……)
チュウ…チュウ…
アラジン(むにゃ……おっぱい……)
チュウ…チュウ…
16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 01:19:27 ID: S3RFjBDA
とりあえず今日の分は終わりです。
本当は昨年中に終わらせたかったのですが、年をまたいでしまいました……
とりあえず、あけましておめでとうございます。
19 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:31:33 ID: S3RFjBDA
次の日の昼、屋上でまどかとさやかは昼食をとっていた。
さやか「ねえ、まどか……今朝のニュース、見た?」
死因不明の少女の遺体発見。場所はあの結界の近く。朝のテレビはそのニュースで持ちきりだった。
まどか「見たよ。中学生らしいね……わたし達とおんなじ……」
まどか「さやかちゃん。わたし、魔法少女になるのやめたいよ……」
さやか「そうだね。それはまどかの自由だよ。怖いよね、魔女と戦うなんて……」
まどか「じゃあ……マミさんには悪いけど、魔法少女見習いやめたいって言わないと」
さやか「えっ、いや、それは……ちょっと待って」
まどか「どうして?さやかちゃんは魔法少女見習い、やめないの?」
さやか「あたしは、もうちょっとだけ続けてみたい」
まどか「で、でも、また死体とか、見つけるかもしれないよ?それに、もしかしたら……」
まどか「わたし達が死んじゃうかも……わたし、さやかちゃんが死んじゃうなんてやだよ……」
さやか「あ、あたしだって、死にたくなんてないよ!でも、あたしには魔法が必要で」
マミ「もう来てたのね。鹿目さん、美樹さん」
20 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:32:08 ID: S3RFjBDA
マミ「どうするの?二人は……魔法少女見習いを、続けるつもり?」
さやか「はい!あたしは続けるつもりです!」
まどか「さやかちゃん……」
マミ「魔法少女は死と隣り合わせよ。目先の願いに釣られてはいけないわ」
さやか「それでも、あたしは……叶えたい願いがあるんです!」
さやか「それに魔女に『口づけ』された人間は皆あいつみたいな目をしてました、光のない目……」
さやか「あたしは魔法少女になって、あいつや、あいつと同じ目をした人達を救いたいです!」
さやか「でも死んでもいいから契約したいかって言われたら、さすがに、ちょっと……」
マミ「ためらうのは普通のことよ。貴方の決意は、とても素敵だと思うわ」
マミ「美樹さんの決意は分かったけど、鹿目さんはどうするの?」
まどか「あ、えっと、わたしは……」
まどかは一瞬、さやかの方を見た。
まどか「わたしは……」
21 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:32:57 ID: S3RFjBDA
さやか「無理することないよ、まどか。あんなに怖がってたじゃない」
さやか「魔法少女見習いを続けたいのは、あたしのワガママ。まどかまで付き合うことないって」
まどか「さやかちゃん……ごめんね……」
さやか「いいっていいって。さ、マミさん。魔女退治見学ツアーについて話し合いましょ!」
マミ「え、ええ。そうね……そうだ美樹さん、今日の魔女退治は……」
そこから先、二人が何を話していたのかまどかは覚えていない。
さやか「まどか……まどか!何ぼーっとしてるの?」
マミ「昼休みももう終わりよ。早く教室に戻った方がいいわ」
まどか「あっ、うん……そうだね……」
二人の姿が、なぜかまどかには物凄く遠く見えた。
まどか「わたし、ちょっとトイレ行くから……さやかちゃん、先に教室戻ってて」
さやか「分かった。急がないと遅刻しちゃうよ、まどか」
さやかとマミを見送り、まどかは一人屋上に残された。
22 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:33:30 ID: S3RFjBDA
まどか「わたし……ダメだなあ……」
まどかは空を見上げる。何となく、さやかの隣を歩きたくなかった。
??「どうして、ダメだなんて思うんだい?」
まどか「えっ?」
まどかは振り返る。しかしそこには誰もいない。
まどか(あれ?よく見ると……何か、おかしいような……)
よく見ると一部分だけ、風景が微妙に歪んでいる。
アラジン「やあ!まどかさん!」
まどか「きゃぁっ!?」
まどかの目の前に、いきなりアラジンが現れた。
アラジン「驚かせちゃってごめんよ。これはシャラール・サラブという魔法なんだ」
アラジン「水蒸気の鏡にものを映す魔法だけど、応用すればこんなこともできるんだ」
アラジン「すぐにバレちゃったけどね。まだまだ調整が必要だなあ」
まどか「アラジン君……どうして、ここに来たの?」
23 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:35:09 ID: S3RFjBDA
アラジン「学校というものに興味があってね。マミおねえさんに連れてきてもらったのさ」
アラジン「みんなにバレないように、姿を隠すことっていうのが条件だけどね」
まどか「そ、そうなんだ……じゃあ、マミさんと一緒にいなくて大丈夫なの?」
アラジン「マミおねえさんに聞いたんだけど、まどかさんは学年が違うから授業の内容も違うんだってね」
アラジン「だから、まどかさん達の授業も見てみたくなったのさ」
まどか「別に、姿を消すなら大丈夫だと思うけど……わたし達の授業なんて、普通だよ?」
アラジン「僕達にとっては珍しいよ。僕達の世界には学校というものがないからね」
アラジン「マグノシュタット学院みたいに、勉強したいと思った人が行くところはあるんだけど……」
アラジン「この学校みたいに、みんなに平等に教育を受けさせるような機関はないなぁ」
まどか「そうなんだ……アラジン君って本当に、わたし達とは違う世界の人なんだね……」
アラジン「うん。この世界は本当に興味深いよ。色々知りたいところだけど……時間は、大丈夫なのかい?」
まどか「あっ!」
時計はあと数分で、昼休みが終わることを示していた。
24 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:36:41 ID: S3RFjBDA
アラジン「まどかさん、まどかさん。姿、きちんと消せてるかい?」
まどか「うん。じーっと見ると、なんかヘンだなって感じだけど……」
廊下を早足で歩きながら、二人は会話する。
もうすぐ授業が始まるため廊下には誰もいない。
アラジン「まあ多少は仕方ないかな。ところでまどかさんは、今日の魔女退治行かないのかい?」
まどか「わたしは、魔法少女見習いやめちゃったから……アラジン君は行くの?」
アラジン「この世界の魔法も勉強したくてね。マミおねえさんの魔法を見学しようかなと」
まどか「へえ、そうなんだ……勉強好きなんだ、アラジン君……すごいね」
アラジン「うん。僕の世界でも魔法について勉強してたんだけど、とても楽しかったな」
アラジン「でも学院は魔法が大好きな人や、どうしても勉強しなきゃいけない人がたくさんいるから」
アラジン「別に僕だけが特別なわけでもないよ」
まどか「ううん。やっぱりすごいなぁ、みんな……」
まどか「マミさんは魔法少女として命がけで皆を守ってるし、さやかちゃんは……」
まどかは、ふうと溜息をついた。
25 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:37:37 ID: S3RFjBDA
まどか「さやかちゃんは頑張り屋さんで、いつも人に気を配ってて……」
まどか「わたしは、そんなさやかちゃんに助けられてばかりで」
アラジン「そんなさやかさんだから、すごく魔法少女になりたいんだね」
まどか「うーん、それもあるかもしれないけど……多分、違うと思う」
まどか「さやかちゃんはきっと、どうしても願いを叶えたいんじゃないかなあ」
アラジン「……願いを?」
まどか「さやかちゃんの……友達なんだけどね、事故で、酷いケガをしたの」
まどか「それきりふさぎこんでて、さやかちゃんが毎日お見舞いに行ったりしてるんだけど」
まどか「さやかちゃんはそのこと、何も言わないし……少しずつ元気も無くなってる気がして」
まどか「力になりたいけど、さやかちゃんに助けられているようなわたしには何もできなくて」
??「まどか。……何を話しているのかしら?」
廊下の向こうから、冷たい声が聞こえて来た。
26 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:38:20 ID: S3RFjBDA
まどか「あっ、ほ……ほむらちゃん!」
ほむら「なかなか戻ってこないから、様子を見に来たら……何を独り言をいっているの?」
ほむらと呼ばれた、端整な顔をした黒髪の少女がまどかに近づいた。
まどか「あっ、えっ、それは……つ、次英語だから、予習……みたいな……」
ほむら「ああ、教科書を読むところがあるものね。怪しいから控えたほうがいいわよ」
まどか「う、うん、気をつけるよ……」
ほむら「少し心配したけど、何もなくてよかったわ」
まどか「ほ、ほむらちゃん。おおげさだってば……」
ほむら「心配もするわ。キュゥべぇに聞いたけど……魔法少女見習い、まだ続けているみたいね」
ほむら「魔法少女でもないのに結界の中にすすんで入っていくなんて死にに行くようなものだわ」
ほむら「そんな危ないことする人、心配するななんて言う方が無理よ」
まどか「そ、それは……大丈夫だよ。魔法少女見習いはもうやめたから……」
ほむら「そう、ならいいの。魔法少女なんて危ないことはやめたほうがいいわ……絶対に」
ほむらはそう言うと、教室へと戻っていった。
27 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:39:07 ID: S3RFjBDA
まどか「あ、危なかったね、アラジン君……」
アラジン「う、うん……ところで、今のこわい人は誰だい?」
まどか「暁美ほむらちゃん……わたしのクラスに入ってきたばかりの子で、魔法少女なの」
アラジン「あの人もキュゥべぇ君と契約した魔法少女なんだね」
まどか「うん。キツそうな感じに見えるけど、意外と優しいところもあるんだよ?」
まどか「さっきだって、私のこと心配してわざわざ来てくれたし、色々忠告してくれたし」
アラジン「僕もそう思うよ。何て言うか……まっすぐなものを感じる」
まどか「アラジン君……分かるの?」
アラジン「うん。この世界の魔力というものは、僕の世界のルフというものに似ているね」
アラジン「ルフは人の中にも流れていて、その人の性質を反映している」
アラジン「あの人のソウルジェムに込められた魔力は、痛いほどまっすぐなルフに似ているよ」
まどか「そうなんだね……わたし、ほむらちゃんのこと全然知らなかったかも……」
まどか「もっとちゃんとお話したほうがいいよね……」
アラジン「うん……僕も、そう思うな」
28 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:40:24 ID: S3RFjBDA
さやか「まーどかっ!」
放課後、一人で家路についていたまどかにさやかは飛びついた。
まどか「さ、さやかちゃん……魔女退治は?」
さやか「寄る所があるから、待ち合わせ時間遅くしてもらったんだ」
さやか「だから、まだまだ時間あるし……あと、まどかが恋しくなっちゃってさぁ~」
まどか「ひゃあっ、や、やめて、さやかちゃん……」
さやかはまどかの脇をくすぐる。
さやか「そう言えばまどか、今日やたら独り言が多かったけど、あれどうしたの?」
さやか「見えない誰かと話してるみたいだったけど、キュゥべぇからの交信でもないし……」
まどか「えぇっ!?やっぱりわたし、ヘンな風に見えてたんだ!」
さやか「まあ、よっぽど注意して見ないと分からないだろうけどさ……」
まどか「そっか……実はあそこに、アラジン君がいたの……魔法で姿を消して……」
さやか「え、えっ、えぇっ!?まさか……今もいるの!?」
29 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:41:24 ID: S3RFjBDA
まどか「もういないよ。マミさんと一緒に魔女退治の準備でもしてるんじゃないかな」
まどか「なんか学校の勉強に興味あるみたいで、色々質問されて大変だったんだ……」
まどか「『英語って何?』とかさ……アラジン君の世界は言葉の違いとか無いみたいなの」
さやか「何それ、うらやましい」
まどか「あはは、さやかちゃんってば……はは……」
さやか「まどか?」
今までニコニコしていたまどかの顔から、いきなり笑顔が消えた。
まどか「じ、実はわたし、さやかちゃんに謝らないといけないことがあるの……」
まどか「わ、わたし……さやかちゃんの契約する時のお願い、アラジン君に話しちゃった!」
さやか「――え、えぇっ!?じゃ、じゃあもしかして……」
まどか「それ以外話してないから大丈夫!でも……ごめんなさい……」
さやか「そっか、びっくりした……じゃあ、あたしはここで。病院こっちだから」
まどか「うん。行ってらっしゃい……さやかちゃん」
さやかが一瞬浮かない表情をしたことを、まどかは見逃さなかった。
30 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:42:11 ID: S3RFjBDA
さやか「恭介……今日も、差し入れ持ってきたんだ」
さやか「CDはこの前怒られちゃったから、今日はお菓子……好きだったよね、コレ」
西日の差す病室の中をさやかはベッドに向かって歩いていく。
ベッドに横たわるのは彼女の幼馴染、上条恭介だ。
恭介「ありがとう、さやか……今日も来てくれたんだね」
さやか「う、うん……顔見れないと、やっぱり寂しいから……」
さやかは赤い顔をごまかすため、あえて西日の当たる場所に立つ。
恭介「ちょうど食べたいなと思ってたんだ、これ。いつも気を使わせて悪いね」
さやか「う、うん、いいの。恭介に早く治ってほしいからさ……」
恭介「治っても、この腕のケガではもうバイオリンは弾けないけどね」
さやか「それは……!ごめん、この前バイオリンのCD持って来たことは無神経だと思ってる」
恭介「それだけじゃない。さやかはいつも、僕にバイオリンの事を思い出させようとする」
恭介「逆に父さんと母さんは、頑なに僕にバイオリンの事を思い出させないようにしている」
恭介「みんな……僕にはバイオリンしか無いみたいな言い方をするんだね……」
31 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:43:25 ID: S3RFjBDA
さやか「あたし……何で、逃げてきちゃったんだろう……」
さやかは病院の外から、恭介の病室のある辺りを見ていた。
あの後さやかは、逃げるように病室を出た。
さやか「あたしはただ、恭介がただ全力でバイオリンをしてきたのをずっと見てて」
さやか「そんな恭介が奏でる音が大好きだっただけなのに……」
さやか「何でいつも、こうなっちゃうのかな……」
さやか「あたしって、ほんとバカみたい。こんな辛い思いして毎日お見舞い行って」
さやか「恭介にも、あんな顔させてさ……」
「僕にはバイオリンしか無いみたいな言い方をするんだね」
そう言った恭介の顔は、ひどく悲しそうだった。
さやか「あたし……何でさっき『そんなことないよ』って、言えなかったのかなあ……」
さやかの両目から、ぽろぽろ涙がこぼれる。
アラジン「どうして、泣いているんだい?さやかさん」
いつの間にかさやかの真正面にアラジンが現れた。
32 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月01日 (水) 23:46:02 ID: S3RFjBDA
とりあえず、今日の分はここまでにします。
なんか1月5日に間に合わなさそうですが、とりあえず完結を目指したいです。
35 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:36:28 ID: oUCwZWUA
さやか「アラジン……あんた、何でここに……」
アラジン「さやかさんが言ってたじゃないか。『時間までに来なかったら多分病院にいる』って」
アラジン「だからマミおねえさんと一緒に来たのさ。マミおねえさんはあそこの物陰にいるよ」
マミ「えっ、いや、別に……覗きをしていたわけじゃないのよ!」
マミが門の影からひょっこり顔を出す。
マミ「ただ美樹さん、とても辛そうだったから……声をかけられずにいたの」
マミ「その……今日はどうするの?辛いなら、別に無理してついてこなくても」
さやか「いえ、あたし……ますます、魔法が必要だなって思いました」
さやか「あたし、やっぱり魔法少女になりたいです!一緒に行きましょうマミさん!」
マミ「そう言ってくれて本当にありがとう」
マミ「強引に勧めるわけじゃないけど、貴方が私の仲間になってくれたらとても嬉しいわ」
マミ「さあ、魔女を探しましょうか。後アラジン君にも魔法のこと色々説明しないとね」
さやか・アラジン「はいっ!」
36 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:37:10 ID: oUCwZWUA
さやか「アラジン……あんた、まどかからあたしの願い、聞いたでしょ?」
魔女を探し街を歩き回っていた時、さやかはアラジンに尋ねた。
アラジン「ううん。酷いケガをしたお友達がいるって事は聞いたけど」
さやか「そこまで聞いたら、あたしの願いほとんどバレてるじゃん。まどかのヤツ!」
アラジン「怒らないでおくれよ。まどかさんはさやかさんのこと、心配していたよ」
アラジン「お見舞いに行くたびに、元気がなくなっている気がするって……」
さやか「怒ってなんてないよ。でも、あたし……そんな風に見えてたんだ」
マミ「病院に行ってたのは、そのお友達のお見舞いだったのね」
さやか「うん。でもなんでだか、いつもケンカになっちゃって……」
さやか「向こうもケガで気が立ってるみたいでさー、もう……涙も出るし……」
マミ「み、美樹さん……」
さやか「あ、あたしは大丈夫ですよ!それよりあたしは、まどかが心配です」
37 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:37:47 ID: oUCwZWUA
マミ「鹿目さんが?」
さやか「はい。まどかって、魔法少女になることにすごく憧れてたじゃないですか」
マミ「そうね。初めて魔女退治に行く時なんて『自分の魔法少女姿』を描いたノート持って来て」
さやか「だから……死体で見つかった人と自分を、重ねてるんじゃないかなって」
さやか「それで、ショックを受けて……」
マミ「なるほどね。キュゥべぇの話によると、その子も魔法少女に憧れてたみたいだったから」
さやか「あーどうしよう。やっぱり今日、まどかと一緒にいた方が良かったかな……」
アラジン「さやかさんとまどかさんは、二人ともお互いの事を心配しているんだ」
アラジン「二人は、とても良い友達なんだね」
アラジン「それならお互いを思う気持ちがあれば大丈夫さ。離れていても、きっと」
さやか「アラジン……そう言えばアラジンって、友達とかいるの?」
38 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:38:34 ID: oUCwZWUA
マミ「み、美樹さん!」
アラジン「いるよ。とても大切な友達が……遠く離れた所で頑張っているんだ」
アラジン「元の世界にいた時は、同じ空の下にいるからいつか会えるって思ってたけれど」
アラジン「まさか、僕が違う空の下に飛ばされるなんて思わなかったよ」
さやか「ごめん……帰れるといいね、元の世界に」
アラジン「いいんだ。それに僕は、この世界に来たのは偶然じゃないような気がするんだ」
アラジン「だから、役目を終えたら元の世界に帰れそうな気がする……」
アラジン「これも『ルフの導き』なんだってね」
マミ「ルフの……導き?」
アラジン「そうさ。ルフはあらゆる生命に宿り世界に流れる、僕の世界の血潮」
アラジン「その大いなる流れは時として人を導くのさ。運命のようなものだね」
その時、マミのソウルジェムがかすかに光った。
39 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:39:07 ID: oUCwZWUA
マミ「ソウルジェムが反応してるわ。これが魔女がいる結界の入り口よ」
アラジン「空間に、穴が……」
マミ「ソウルジェムの助けがないと私達魔法少女でも認識しづらいわ」
さやか「知らない間に引きずりこまれたことも、あったくらいだしね」
マミ「そうね。魔女は人を結界の中に引きずり込み、『口づけ』を施す……魅入ってしまうの」
マミ「そうなった人間は、自らを滅ぼすような行動をしてしまうわ。いきなりビルから飛び降りたりね」
アラジン「だから、倒さないといけない……」
マミ「ええ。私達魔法少女が希望を振りまく存在なら、魔女は絶望と呪いを振りまく存在なの」
マミ「それから、魔女が従えてる『使い魔』も残らず倒さないといけないわ。彼らも人間を襲うの」
アラジン「魔女について大体の事は分かったよ。早く魔女と使い魔を倒しに行こう!」
マミ「そうね。じゃあ……残りのことは、結界の中で説明するわね」
アラジン達は、結界の中に入り込んだ。
40 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:39:54 ID: oUCwZWUA
アラジン達は水色の空間に放り込まれた。
まるで水中にいるようにアラジン達はゆっくりと落ちていく。
アラジン「結界は、魔女が作るものなんだね?」
マミ「ええ。ここは魔女のホームグラウンドだから、心して進まないといけないわ」
マミ「結界の中には『使い魔』もいるし、魔女が仕掛けたワナもある……来る!」
モニタのような物を持った天使のような外見の使い魔が向かってくる。
マミ「これは……」
使い魔が持ったモニタを見て、マミは絶句した。
高速道路らしき場所で、潰れた車が炎上している。
マミ「あの時の、事故……?」
モニタを見つめたまま、マミは動かない。
使い魔はまるでモニタの映像を見せ付けるように、アラジン達の周りを取り囲む。
そして、一斉に襲い掛かった。
41 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:40:47 ID: oUCwZWUA
アラジン「ハルハール・ラサース!」
だがその使い魔は、アラジンによって焼き払われた。
アラジン「しっかりしておくれよ、マミおねえさん!」
マミ「ごめんなさい、アラジン君……私、すっかり動揺させられてしまっていたわ」
マミ「この魔女、幻覚を見せるのね。こういう魔女は珍しくないのに不意を突かれるなんて」
アラジン「僕も驚いたよ。我に返るのに少し時間が掛かってしまった」
マミ「アラジン君も……怖いものを見たのね?」
アラジン「うん。とても、とても怖かった……もう二度と繰り返したくない光景さ」
アラジン「幻で、本当によかったよ……」
さやか「二人とも冷静だねぇ……早く魔女を倒して、さっさとこんな結界出なきゃ!」
マミ「そうね。この手の結界は、底の方に魔女がいるものよ」
マミ「サポートをお願い、アラジン君。一気に行きましょう!」
さやかとアラジンの手を取って、マミは結界の奥に向かった。
42 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:41:32 ID: oUCwZWUA
結界の底から、使い魔がモニターを持って現れた。
さやか「マミさん!また……あれが来るよ!」
マミ「いいえ、あれは……恐らく違うわ」
モニターが鮮やかに点滅し少女のシルエットが映される。
アラジン「エ……リー……?」
アラジンがそう呟いた瞬間だった。
モニターに亀裂が走り、魔女が出現した。
マミ「迷ってはいけない……一撃で決めるわ!ティロ・フィナーレ!!」
マミの手にあったマスケット銃が巨大な銃に変化し、至近距離から魔女を貫いた。
アラジン「う……うわぁぁ~っ!!」
激しい爆風にアラジンは吹き飛ばされ、結界の底に叩きつけられる。
アラジン「あいてて……ん?これは……?」
黒くて丸い種のようなものが、アラジンの足元に転がっていた。
43 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:42:04 ID: oUCwZWUA
マミ「アラジン君、大丈夫だった?」
さやか「大迫力でしたね、マミさん!でも、今後はああいうのは、控えてほしいって言うか」
マミ「ごめんなさいね、美樹さん。少しカッコつけ過ぎだったかしら」
結界の底に、さやかを抱えたマミが降りてきた。
アラジン「マミおねえさん、これ……歪んだ黒い何かを感じるんだ。何かな?」
アラジンは落ちていた黒い種のようなものをマミに渡した。
マミ「ああ、これはグリーフシード。魔女の卵よ」
アラジン「卵!?じゃあここからまた、魔女が生まれるのかい?」
さやか「あはは、怖がってるねー?ところが大丈夫なんだよなこれが」
マミ「美樹さんだって最初、同じような反応してたじゃない」
マミ「グリーフシードは、この状態では安全なものなのよ。これを、ソウルジェムに近づけると……」
ソウルジェムの穢れが、グリーフシードに移った。
44 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:42:38 ID: oUCwZWUA
アラジン「い、今のは!?」
さやか「グリーフシードには魔力を消費することで溜まったソウルジェムの穢れを移すことが出来る」
さやか「ソウルジェムが穢れると魔法が使えなくなるから、定期的にこれを行うんだよ」
マミ「美樹さん、よくできました」
さやか「未来の魔法少女だもん、これくらいはねー」
アラジン「魔女の卵か……マミおねえさん、もう一度それを僕に見せておくれよ」
マミ「いいわよ。これはまだ、安全な状態だから」
マミはアラジンに、グリーフシードを手渡した。
アラジン「『まだ』安全ってことは……い、いずれ危険になるのかい?」
アラジンはマミにグリーフシードを返そうとする。
マミ「まだ大丈夫。でもグリーフシードにあまり穢れを吸わせ過ぎると、魔女が孵ってしまうの」
マミ「そういう時はキュゥべぇが処理してくれるから、大丈夫よ」
アラジン「ふーん……」
アラジンはちらりとマミのソウルジェムを見てから、グリーフシードを見つめた。
45 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:43:09 ID: oUCwZWUA
さやか「魔女の卵が面白いのー?」
マミ「そう言えばグリーフシードなんて、私もきちんと見たことなかったわね」
マミ「魔法の勉強になるかしら?アラジン君」
アラジン「勉強になると言うか……見てると、すごく不思議な気持ちになるんだ」
アラジン「黒くて歪んでいるのに、とても悲しくて、痛くて……時々ぞっとするような……」
アラジン「僕の世界で見た何かを、誰かを、思い出すと言うか……」
黒い太陽のようなあの人を。
運命に翻弄されたあの人達を。
マミ「アラジン君、やっぱりそれ返して頂戴」
アラジン「えっ?どうしてだい、マミおねえさん」
マミ「グリーフシードは魔法少女にとって生命線だけど、魔法少女以外が持つのは危険かもしれないわ」
マミ「だって……」
さやか「マミさん、上!」
結界の上から、赤い影が降ってきた。
46 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:44:05 ID: oUCwZWUA
マミ「しまった……!」
さやか「何コレ!?まさか……これも魔女が?」
マミは、赤いオリのようなものに囚われていた。
??「こんな不意打ちに全く対応できないなんて随分なまったもんだね、マミ」
マミ「杏子……」
アラジン達の目の前に、杏子と呼ばれた赤い魔法少女が現れた。
杏子「結界に一般人連れ込むわ、あたしがずっと上で話聞いてたのにも気付いてないわ」
杏子「相手がアタシじゃなかったら危なかったよ。首が繋がってんのに感謝するんだね」
アラジン「あの赤いオリのようなもの……君が、魔法で出したのかい?」
杏子「ああ、アタシは魔法少女だからね」
杏子「さっきマミが、グリーフシードは魔法少女の生命線って言っただろ?それ、よこしな」
赤い魔法少女はアラジンに槍を突きつけた。
47 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:45:03 ID: oUCwZWUA
アラジン「これは、マミおねえさんが魔女を倒して手に入れたものだ」
アラジン「何故君が所有権を主張するんだい?」
杏子「は?」
マミ「無理に逆らうことはないわ、アラジン君。魔法少女の間ではよくあることなの」
マミ「グリーフシードの奪い合い……時として、命のやり取りにも発展するようなものがね」
アラジン「この世界は十分な食料もあって、誰もが教育を受けられる。奴隷もいない」
アラジン「そんな豊かで幸せな世界なのに、争いや奪い合いが起こるんだね……」
杏子「あのなーチビ。魔法少女の世界は弱肉強食なんだよ」
杏子「弱い魔女や魔法少女はブチのめされ、強い魔法少女に食われるんだ」
アラジン「………………………」
アラジンは杏子に、悲しそうな目を向けた。
48 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:45:42 ID: oUCwZWUA
アラジン「魔法は、力を誇るためのものじゃないよ……」
杏子「うるせえよ」
アラジン「人を救える力を、君はなぜこんなことに使うんだい?」
杏子「黙れ。アタシはマミと違って、人助けに魔法使えるほどバカじゃねーんだ」
アラジン「でも君とマミおねえさんは、同じ魔法少女……」
杏子「――黙れよ!!」
杏子の槍が、アラジンの腹部に命中した。
杏子「おいマミ!しばらく見ねえと思ったら、こんなムカつくガキ連れて現れやがって」
杏子「それにこの結界、使い魔がいねぇ。まだ使い魔倒して回るなんて非効率なことしてんのか?」
杏子「そんな正義の味方ごっこ続けてるだけでもイラっとくるのに、こんなガキまで」
杏子「グリーフシード巻き上げて終わろうかと思ったけど……」
杏子「ちょっとくらい痛い目見ないと、その偽善者ぶり治らないのかねぇ?」
杏子は、マミに槍を突きつけた。
49 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:47:25 ID: oUCwZWUA
アラジン「マミおねえさん!」
アラジンは慌ててマミに駆け寄ろうとする。
杏子「何だ?てめえ……」
さやか「お、おまえ……マミさんを、バカにするな!」
だがアラジンより早くマミに駆け寄ったのはさやかだった。
マミを庇うように杏子の前に立ち塞がる。
杏子「結界の中まで来ておいて変身してねえってことは、アンタ一般人だろ」
杏子「魔法少女相手に、どうにかなると思ってんの?」
杏子「アンタには別に何の恨みもないし、大人しく引き下がるなら見逃してやるよ」
杏子「そこをどきな」
杏子は、さやかに迫る。
さやか「どかない。それにあたし……ど、どうにかなると思ってるから」
さやか「あたしにだって素質あるんだから……契約しなさいよ、キュゥべぇ!」
50 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:48:44 ID: oUCwZWUA
??「それには及ばないわ」
上から、見覚えのある黒髪の少女が降ってきた。
アラジン「き、君は……あ、アケミ ホムさん!」
ほむら「!? あ、あなた……誰?な、何故私のことを?」
アラジン「僕はアラジン、魔法使いさ。この世界ではマミおねえさんのお世話になっているよ」
アラジン「君のことはまどかさんから聞いたんだ。魔法少女だってこともね」
ほむら「まどかが、私の話を……」
杏子「おいほむら、何でジャマしやがったんだよ?」
アラジンとほむらの間に、杏子が割って入った。
ほむら「あと二週間でワルプルギスの夜が来るのよ」
ほむら「むしろ協力者を集めたい時に、どうして敵を作るようなマネをするの」
ほむら「……私は、無闇に争いたがる馬鹿が一番嫌いなの」
アラジン「……ワルプルギスの夜?」
51 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:49:49 ID: oUCwZWUA
キュゥべぇ「歴史の折々に姿を現す伝説の魔女さ」
キュゥべぇ「この街程度なら簡単に壊滅させられるほど強力な、ね」
キュゥべぇがいきなりアラジン達の前に現れた。
ほむら「呼んだ覚えは無いのだけど」
キュゥべぇ「呼ばれたさ、さやかに」
ほむら「美樹さやかは佐倉杏子と和解した。戦闘のために契約する必要はないわ」
杏子「なんだと!?」
さやか「誰が、こんなヤツと和解なんて……やっぱりあたし契約する!」
マミ「落ち着いて美樹さん。よく考えてから契約するって言ったじゃないの」
さやか「……うぐぐ」
こうして『和解』したが、その後も杏子とさやかはずっと睨みあいを続ける。
ほむら「それで、巴さん。こんなことがあった後だけど……」
ほむら「ワルプルギスの夜を倒すのに、協力してはもらえないかしら?」
52 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:50:19 ID: oUCwZWUA
杏子「はぁ?アタシにマミと組めって言うのかよ!」
ほむら「彼女の信条はどうであれ、相当の実力であることは事実よ」
ほむら「ムカつくムカつかないに関わらず、手を組んだ方がいいと思うけど」
杏子「ま、まあな……」
ほむら「巴さんとしても、私達と手を組むべきだと思うわ。一人でどうにかなる相手ではないもの」
マミ「……貴方たちは信用ならないわ」
マミ「それに私は一人じゃない。さっきの魔女退治だってアラジン君がサポートしてくれたもの」
マミ「ワルプルギスの夜とだって一緒に戦ってくれるわよね?」
アラジン「僕がこの世界にやって来た、すぐ後にその強力な魔女がやって来ようとしている」
アラジン「その魔女と戦う事が、僕のこの世界での役目なのかもしれない……」
マミ「そうでしょ、アラジン君……」
アラジン「ただ、僕はマミおねえさんと二人だけでは戦わないよ」
アラジン「ホムさんも一緒さ!」
ほむら「ほむ『ら』よ」
53 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月05日 (日) 01:53:32 ID: oUCwZWUA
これで今日の分は終了です。
期限には大幅に遅れるかもしれませんが、とりあえず完結にはこぎつけたいと思います。
あと何だかいつの間にかマギのSSが上がってきてて嬉しいです。
54 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:14:34 ID: XW0IG2os
マミ「手を組むといっても、何をすればいいのかしら」
ほむら「ワルプルギスの夜が来るまでは、特に何も。グリーフシードを集め備えるだけよ」
ほむら「もちろん、余計な争いを起こさないようにね」
ほむら「時が迫れば私が必要な情報を示して作戦を提案するわ」
ほむら「貴方達はその作戦に参加してほしいの」
翌日の昼、マミとほむらは屋上に来ていた。
アラジン「分かった。出来る限りホムさん達の力になれるよう努力するよ」
アラジンも姿を消して、マミ達の傍にいる。
ほむら「……どうしても、直らないのかしら」
アラジン「何がだい?」
ほむら「何でもないわ。それより、巴さん……どうしてそんな怖い顔をしているのかしら」
ほむら「私の事が、信用できない?」
55 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:15:07 ID: XW0IG2os
マミ「申し訳ないけれど、完全には信用していないわ」
マミ「以前魔女退治をしていた時貴方に会ったけど、グリーフシードに執着する魔法少女にしか見えなかった」
マミ「グリーフシードに執着する魔法少女は時として卑怯なこともする、実際に体験したもの」
アラジン「ホムさんは、そんなことする人じゃないと思うな」
アラジン「とてもまっすぐで強い魔力を、ホムさんのソウルジェムから感じるからね」
アラジン「きっとホムさん自身もまっすぐで強い人だと思う。ただ少し不器用なだけさ」
ほむら「……何なのかしら、貴方」
アラジン「僕の友達にホムさんと似た人がいてね」
アラジン「その人はいつも僕達の事を考えてくれて、助けてくれた。とても優しい人なんだ」
アラジン「ホムさんと同じで、あまりそういうのを表に出さないんだけど」
アラジンは懐かしげに微笑んだ。
②まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」 | アラジン(アラジン) | マギシリーズ | 【キャラペディア-CHARAPEDIA-】
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②まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」|アラジンのまとめ。|キャラペディア