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②まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」

ほむら「馬鹿馬鹿しい。ただの推測に過ぎないわ」 マミ「でもアラジン君は私の知らない魔法を知っているものね。何かが見えるのかもしれないわ」 ほむら「まさか……そんなはずないわ」 マミ「だから少しだ

②まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」

ほむら「馬鹿馬鹿しい。ただの推測に過ぎないわ」

マミ「でもアラジン君は私の知らない魔法を知っているものね。何かが見えるのかもしれないわ」

ほむら「まさか……そんなはずないわ」

マミ「だから少しだけ貴方の事を信じて、協力してあげてもいいわよ」

マミ「何だかんだで貴方はあの時、美樹さんを助けてくれたんですもの」

ほむら「……感謝するわ」

  ほむらは少し恥ずかしげにそっぽを向いた。

まどか「あ、あの、みんな……」

さやか「その、今……大丈夫、ですか?」

  まどかとさやかが昼食を持って、屋上に通じる扉から様子を伺っていた。
57 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:16:11 ID: XW0IG2os
マミ「一人増えただけで、随分にぎやかね。もっともアラジン君は見えないけど」

  マミ達はほむらと共に屋上で朝食をとる事にした。

さやか「そういえばマミさん。さっき何の話をしてたんですか?」

マミ「大した話じゃないわ。ワルプルギスの夜に備えて協力しましょうって話をしてただけ」

さやか「えぇっ!?マミさん、あの二人に協力するんですか!?」

まどか「さやかちゃん、ほむらちゃんに失礼だよ……」

ほむら「私と巴さんは決して友好的な関係とは言えなかったもの。無理もない反応だわ」

まどか「でも良かった。こうして皆で一緒に、ご飯が食べられるなんて」

アラジン「そう言えばまどかさん、前にホムさんとちゃんと話したいって言っていたね」

ほむら「えっ?そうなの、まどか……」

まどか「考えたらほむらちゃん転校してきたばっかりで、ろくにお話もできてないなーって」

まどか「魔法少女とか色々な事に巻き込まれたから、全然そんな気しないけど」

ほむら「それは……」
58 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:16:44 ID: XW0IG2os
ほむら「……そうね、それもそうだわ」

さやか「何?どうかしたの?」

ほむら「いえ、その……何でも、ないの……」

さやか「あやしいなー。何か隠してない?せっかくまどかが腹割って話したいって言ってるのに」

まどか「さ、さやかちゃん……わたし、何もそこまで言ってないよ」

まどか「ほむらちゃんも、話したくないことがあるなら無理して話さなくていいんだよ?」

ほむら「え、ええ……ありがとう、まどか」

マミ「貴方って、鹿目さんが絡むと弱いのね。意外な弱点知っちゃったわ」

ほむら「……何よ」

マミ「いえ。ただ、同じ魔女と戦うもの同士、貴方の事を知っておいて損はないでしょ?」

ほむら「相変わらず、貴方は私のペースを乱すのが上手いのね……」

マミ「あっ!」
59 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:18:05 ID: XW0IG2os
ほむら「な、何?」

マミ「アラジン君ったら!もう、私のお昼全部なくなっちゃったじゃない!」

アラジン「ご、ごめんよ。とってもおいしかったから……」

  アラジンはマミが話しているうちに、彼女の昼食を平らげてしまっていた。

まどか「姿が見えないから、マミさんが食べてたんだとばかり……」

ほむら「いきなり声を上げるから、何かと思ったわ」

ほむら「それにしてもこれだけの量をこんな短時間で……赤い誰かさんを思い出すわね」

さやか「赤い誰かって、昨日の魔法少女?そう言えばここには来てないんだね」

ほむら「彼女は見滝原の人間ではないもの。学校にも行っていないようだしね」

さやか「えっ……」

マミ「そう言えば、そうだったわね……」

さやか「マミさん、あいつのこと知ってるんですか?」
60 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:18:47 ID: XW0IG2os
マミ「昔……ちょっとね。ただそんな大食いだったような記憶はないけど」

マミ「人って変わるのね……良くも悪くも」

ほむら「経済的にもかなり苦しいようだし、そういうクセがついてしまったのね、恐らく」

マミ「そう言えば、アラジン君もよく食べるけど……」

アラジン「食べられる時に食べるって決めてるからね。食料がないのは珍しいことじゃないから」

アラジン「でもここはいつでも美味しいものがお腹いっぱい食べられるからね。太っちゃうな」

マミ「そんな……」

ほむら「ともかく佐倉杏子はここには来れないわ。だからまた後で別の場所で集まりましょう」

ほむら「そこでワルプルギスの夜についての情報や、作戦の詳細を話すわ」

マミ「そうね、場所は……」

ほむら「ここでは話せないわ。部外者のいるところではね」

  まどかとさやかを見て、ほむらはそう言い放った。
61 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:19:17 ID: XW0IG2os
さやか「なっ……あ、あたしが……部外者……」

マミ「残念だけど……そうね。これは私達魔法少女の問題よ」

さやか「あ、あたしは魔法少女見習いです!」

ほむら「ただの足手まといね」

さやか「ぐっ……!」

マミ「美樹さん……お願い、魔法少女見習いを辞めて頂戴」

マミ「これからは私はグリーフシード集めに専念する。美樹さんの事を守りきれないかもしれない」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「分かったよ……悔しいけど……今までありがとうございました、マミさん」

  さやかはマミに、頭を下げる。

キュゥべぇ「何をしてるんだい?さやか。君が部外者にならずにすむ方法があるじゃないか」
62 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:19:51 ID: XW0IG2os
ほむら「キュゥべぇ!何しに出て来たの!」

  いきなり現れたキュゥべぇにほむらは警戒する。

キュゥべぇ「君達は、ワルプルギスの夜を倒す相談をしていたんだろう?」

キュゥべぇ「しかも、大きな戦力になりうる将来有望な魔法少女候補を同席させて」

キュゥべぇ「僕の出番がない方がおかしいと思うけど」

ほむら「まどかと美樹さんは偶然居合わせただけよ。貴方の出番はないわ」

アラジン「本当にそうなのかい?」

ほむら「ワルプルギスの夜は私と巴さんと杏子で何とかなるわ」

ほむら「まどかや美樹さんを契約させる必要なんて……」

アラジン「いや、そうじゃなくて……戦力になるのは魔法少女だけではないだろう?」

アラジン「キュゥべぇ君は、戦力に入らないのかい?」

キュゥべぇ「えっ?」
63 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:21:00 ID: XW0IG2os
キュゥべぇ「さすが異世界の人間だけあるね、アラジン。君の発想には驚かされるよ」

アラジン「キュゥべぇ君は魔女も魔法少女のこともよく知っているだろう?」

アラジン「その知識、情報は魔女と戦う魔法少女にとって大いに役に立つと思うんだ」

ほむら「無理よ。そんな事出来る訳がないわ」

アラジン「でもマミおねえさんから聞いたんだ。キュゥべぇ君は魔法少女をサポートする……」

ほむら「出来る訳ないじゃない!こいつは、魔法少女の敵なのよ!!」

キュゥべぇ「君は何を言っているんだい?魔法少女の敵は、魔女じゃないか」

マミ「暁美さん?どうしたの?いきなり……」

  ほむらは、我に返ったような表情をした。

ほむら「ご、ごめんなさい。何でもないわ」

ほむら「とりあえず放課後、校門の前で待っていて頂戴。そこで場所を決めましょう」

  ほむらはそう言うと、屋上から出て行った。
64 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:22:32 ID: XW0IG2os
まどか「何だかほむらちゃん、情緒不安定だったね……」

さやか「魔法少女なんてやってると、けっこう精神的にくるものもあるのかもね」

マミ「私、何か気に障ることを言ってしまったかしら?こんな事で協力なんて……」

アラジン「大丈夫さ。マミおねえさんとホムさんは同じ目的を持つ魔法少女じゃないか」

アラジン「それに、学校にさえ来ればいつでも話せる。お互いの思いを伝えられる」

マミ「そうね……そうなら、いいのだけど」

アラジン「しかしこの前の赤い人といい、僕は魔法少女の人をよく怒らせてしまうようだね」

アラジン「一体どうしてだろう……」

キュゥべぇ「それは多分、君が言っている事が正しい事だからじゃないかな」

キュゥべぇ「僕もよく魔法少女を怒らせてしまうんだよ。真実というものはとても残酷だからね」

キュゥべぇ「真実を知る者としては、なるべくそれを知られないようにするのが賢い方策さ」

アラジン「そうかもしれないね。でも僕は……傷ついても、真実の言葉で語り合いたいよ」

アラジン「キュゥべぇ君。君とも、いつか」
65 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月06日 (月) 00:27:45 ID: XW0IG2os
これで今日の分は終了です。
このSSでは他のマギキャラ書けないので、おまけみたいな感じでまどマギキャラとマギキャラが絡むだけのSSSとかも書いてみたいですね。
66 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:08:35 ID: 9ByqYJQ.
杏子「ん?あんた、昨日の……」

さやか「何であんたがここにいるのよ。風邪でも引いたの?」

  病院の前で、さやかと杏子はバッタリと出くわした。

杏子「ほむらのヤツにショピングモールまで来るように言われたんだけど、迷ったんだよ」

杏子「そうだ、アンタ案内してくれない?」

さやか「別にあたし、グリーフシードとか持ってないからね。お金も無いし」

杏子「アンタアタシのこと何だと思ってんだよ。アタシは今は、マミの仲間なんだぜ?」

さやか「まあ……そっか。あたし病院に用事あるから、それが終わってからでいい?」

さやか「行っておくけど、ショピングモールまで送っていくだけだからね」

杏子「ん?アンタ……魔法少女見習い、辞めたのか」

さやか「辞めたっていうか……マミさんにクビにされた、って言った方が正しいかな?」

杏子「やっぱりね。アンタ、絶対魔法少女には向いてないと思ったんだ」

さやか「な、何でよ!」

杏子「そうだな。本気で魔法少女になりたいなら……理由、教えてあげなくもないよ?」
67 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:09:10 ID: 9ByqYJQ.
さやか「………………………」

杏子「聞きたいみてーだな。よし、まずは一つ目」

杏子「まず昨日のアレだ。アンタ、マミを庇おうとして丸腰でアタシに向かっていったろ」

杏子「魔女はどんな攻撃を仕掛けてきてもおかしくねえ。慎重過ぎるくらいじゃないと死んじまう」

杏子「んで二つ目。アンタ、マミにくっついて回ってたってことは、マミに憧れてたりすんのか?」

さやか「ま、まあ……正義の味方みたいで、かっこいいなとは思ってるけど」

杏子「魔女も使い魔も、残らず倒すこともか?」

さやか「そりゃ、使い魔は人に危害を加えるんでしょ?だったら倒さなきゃ」

杏子「それじゃ、ダメだな。」

杏子「あのやり方は実力も経験もあって自分の時間を魔女退治に全部つぎこんでるマミしか出来ない」

杏子「ヘタな魔法少女が中途半端な覚悟で真似したら、消費する魔力とグリーフシードが釣り合わねえ」

杏子「まあアンタ、魔法少女になるのはやめといた方がいいよ」

杏子「まず慎重さがなさ過ぎて魔女と戦う時点で死ぬ。上手いこと生き残っても魔力切れがオチだ」

さやか「話はそれだけ?」
68 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:09:45 ID: 9ByqYJQ.
杏子「まあ、大体はな。一応三つ目もあるけど、聞いておくかい?」

さやか「申し訳ないけど、後にするよ。早く行きたい所があるからね」

杏子「ふーん。待ってるから、適当に済ませてきなよ」

さやか「はいはい」

  さやかは杏子の方を振り向かず、まっすぐ病院に向かっていった。

さやか(傷ついても真実の言葉で語り合いたい、か……)

さやか(あたしもそうしたいよ、アラジン)

さやか(勇気を出して、恭介に……本音をぶつけてみよう!)

さやか(あたしはまっすぐに頑張る恭介が好き、元気出してって……)

  さやかは意を決して恭介の病室に向かった。
69 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:11:54 ID: 9ByqYJQ.
さやか「……はぁ。やっぱり、できないって」

  病院から出たさやかはがっくりと肩を落としていた。

さやか(恭介はこれまでずっとバイオリンを頑張ってきた。でも、もう一生バイオリンは出来ない)

さやか(そんな恭介に向かって「頑張ってる恭介が好き」なんて言えない)

さやか(またバイオリンの事思い出させて、恭介の事傷つけちゃう)

さやか「やっぱり恭介には、奇跡が……魔法が必要なのかなあ……」

  さやかは自分の手を見つめながら歩く。
  自分が契約すれば恭介の腕は治る。彼はバイオリンを取り戻す。

杏子「おい!」

さやか「な、何よいきなり!」

杏子「いきなりじゃねーだろ。アンタ今、アタシのことカンペキに忘れてなかった?」

さやか「あ……」

  すっかり忘れていた。

さやか「えっと、確かショッピングモールだったよね。こっちこっち」

杏子「おう。そういや、さっきの話の続きなんだけどさ……」
70 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:12:27 ID: 9ByqYJQ.
さやか「続きって、あの……あたしが魔法少女に向かない理由?」

杏子「そう、三つ目。言うかどうか迷ってたけど、言っておこうと思ってさ」

さやか「迷うくらいなら、どうせロクなことじゃないんでしょ。別にいいって」

杏子「いーや、さっきのアンタの辛気臭い顔見て言おうって決めたんだ。言わせてもらうよ」

杏子「人は、裏切るよ」

さやか「……は?」

杏子「アンタが一般人を助けても、その一般人はアンタを見て逃げ出すかもしれねえ」

杏子「アンタが他人のために戦っても、ソイツがアンタのご期待通り動くとは限らねえのさ」

杏子「魔法少女が命がけで戦っていることも知らないようなヤツならなおさらね」

さやか「恭介は……そんな事、しない……」

  さやかは小さな声でそう言った。

さやか(でも、本当に……そうなのかな……)

  それからさやかと杏子は、一言も話さなかった。
71 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:13:00 ID: 9ByqYJQ.
ほむら「遅いわよ、杏子」

杏子「悪い。近道しようとしたら迷っちまったんだよ」

マミ「あら、美樹さんも来たの?」

さやか「あ、いや、あたしは……コイツが迷ってたから案内しただけです」

  ショッピングモールの前で杏子達とマミ達は合流した。

さやか「それじゃあ、あたしはこれで……」

杏子「ああ。助かったよ。あ、ありがと」

マミ「帰り、気をつけてね」

さやか「はい」

さやか「そうだ、マミさん。帰る前に一つ質問していいですか?」

さやか「奇跡でも、魔法でも……どうにもならない事って、あると思いますか?」
72 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:13:31 ID: 9ByqYJQ.
マミ「そうね。そもそも私達の魔法は魔女と戦うためのもの。出来ない事の方が多いくらいよ」

マミ「それとも美樹さんは、願いの事を言っているのかしら?」

さやか「ま、まあ……そんなところです」

マミ「だったら私は力になれそうにないわ。私の願いは……少し特殊だから」

アラジン「特殊?」

マミ「事故にあった時キュゥべぇが来たから、思わず『助けて』って言っちゃったの」

マミ「それが願いとして聞き届けられ、私だけが生き延びた」

マミ「考えて決めた願いじゃないから、どうにもならないのは当たり前よね」

  マミは寂しそうに微笑む。

ほむら「考えて決めた願いでも、どうにもならないのは変わらないわよ」

杏子「アタシはさっきも言ったな。人は裏切る。自分はどうにかなっても他人はどうしようもねえ」

さやか「そんなもんかな……せっかくだから、魔法使いの意見も聞こうかな」

アラジン「僕かい?」
73 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:15:08 ID: 9ByqYJQ.
アラジン「魔法は確かに素晴らしいよ。学問としても、あらゆる道具……兵器としても」

アラジン「でも僕は、僕よりも遥かに強力な魔法を使う人が、運命のせいで歪んでしまったのを見た」

アラジン「恨みや怒りで安易に力を手にして、自分の身を滅ぼしてしまった人も見た」

アラジン「僕は、魔法で人が幸せになることはあっても、それは結果にしか過ぎないと思うんだ」

アラジン「結局は……その人の運命次第なのかもしれないね」

さやか「え?つまり、アラジンは……魔法があっても運命はどうしようもないって?」

アラジン「まあ、そんな所かな」

アラジン「変えられない運命を無理に歪めるより、それを受け入れ乗り越えた方がいいと僕は思うよ」

さやか「うーん……なんか答えが出そうなような、出ないような」

さやか「あたし、もうちょっと考えてみます!」

  さやかはそう言って、マミ達のもとから走り去った。

マミ「あらあら……アラジン君にいいとこ取られちゃったわ」

ほむら「美樹さんも帰ったようだし、私達も行きましょう」
74 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:15:41 ID: 9ByqYJQ.
まどか「さやかちゃん、さやかちゃん!」

さやか「ぐぅ……ぐぅ……はっ!」

  昼の屋上で、さやかは目を覚ました。
  ヒザの上には弁当箱が乗り、手には箸を握ったままだ。

ほむら「食事中に寝るとは大したものね、美樹さん」

マミ「美樹さんが居眠りなんて珍しいわね。寝不足だったの?」

  ほむらとマミが声をかける。
  いつの間にか五人での昼食が当たり前になっていた。

さやか「考えていたんです、まだ……契約するかどうか」

ほむら「契約するかどうか迷えるなんて、いいご身分ね」

ほむら「どちらでも私は反対しないから、ワルプルギスの夜が来る前に決めてもらえるとありがたいのだけど」

アラジン「前に進めなくて苦しいんだね、さやかさんは」

アラジン「でもそこで止まってはいけない。たとえ前が見えなくてもね」

さやか「えっ?……あっ、そ、そうか!」
75 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:16:13 ID: 9ByqYJQ.
さやか「あたしは前に進めなくて苦しいんだね!何か分かった気がする!アラジンありがとう!」

アラジン「僕は何のことだか、さっぱり分からないや」

まどか「すごくすごく悩んでる時って、自分が何がしたいのか、どうして苦しいのか分からないもんね」

まどか「だから苦しいと思ったら人に話しなさいって、ママに言われたなあ」

まどか「そうすれば自分の気持ちがはっきり分かって、どうすればいいか見えてくるって」

さやか「へぇ~……さすがまどかのお母さん、いいこと言うね」

さやか「とりあえずアラジンには、何かお礼をしなくちゃね。何がいい?」

さやか「おもちゃ?楽器?あっ、勉強好きだから本とか?それともシンプルに食べ物?」

アラジン「!」

  『食べ物』と聞いて、アラジンが鋭く反応した。

さやか「あはは、じゃあ決まり!ハンバーガーくらいならおごってあげるよ」

さやか「そう言えばあの赤い人もちょっぴりだけヒントくれたから、ついでにおごろうかな……」

ほむら「破産するわよ」

マミ「ええ」
76 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:16:43 ID: 9ByqYJQ.
ほむら「……まどか」

  何かにすがるような目で、ほむらはまどかを見た。

まどか「どうしたの?ほむらちゃん」

ほむら「いえ、何でもないの。大した事ではないから忘れて頂戴」

まどか「もしかしてほむらちゃんも……何か、聞いてもらいたい話があるとか?」

マミ「そうなの、暁美さん!?」

さやか「才色兼備、美少女転校生のお悩みかぁ。気になりますねぇ」

まどか「もう、ちゃかしちゃダメだよさやかちゃん!ほむらちゃんは真剣なんだよ!」

ほむら「いえ、本当にいいの。話すのはもう少し後でもいい気がするから」

ほむら「自分で出来る限りの事はやってみて……それでもどうにもならなかったら話すわ」

まどか「そっか。でも、いつでも気軽に言っていいんだよ?」

ほむら「そうね……ありがとう、まどか」

  ほむらの目の端にうっすら涙のようなものが浮かんでいた事は、誰も気づかなかった。
77 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:17:58 ID: 9ByqYJQ.
アラジン「それでさやかさん、『はんばーがー』の事なんだけどね」

さやか「あ、それ?って言うかいいの声出しちゃって」

  放課後、アラジン達は校門に向かって歩いていた。
  メンバー構成は昼と大体同じである。

さやか「今夕ご飯前でしょ。いいのー?そんな時間に食べちゃって」

アラジン「食欲が沸かなくても、お腹がいっぱいでも食べられるさ。大丈夫だよ!」

ほむら「それはどうなのかしら」

マミ「体にはよくないわね、確実に」

さやか「ハンバーガーの件なんだけどさ……明日でもいいかな?」

さやか「前に進んでからにしたいんだ」

アラジン「僕はいつでも構わないよ。さやかさんがいいと思った時で」

さやか「じゃあ、あたし病院に行ってくるから!気が変わらないうちにさ!」

  さやかはそう言うと、走っていった。

まどか「え?さやかちゃん、上条君のお見舞いに行くんだよね?前に進むってまさか……」
78 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:19:33 ID: 9ByqYJQ.
  まどかは知っていた。
  恭介を見つめるさやかを、傍で見ていたのだから。

まどか「さやかちゃん……がんばって!」

  まどかはさやかの後姿に向かって叫ぶ。
  さやかは片手を上げてそれに答えた。

アラジン「まどかさんは、さやかさんの事を知っていたのかい?」

まどか「う、うん……なんとなくだけど。友達だから」

マミ「鹿目さん、どういう事なの?私、美樹さんの事よく知らないから事情があまり……」

ほむら「わりと分かりやすく表に出ていたわよ。美樹さやかは入院してい」

まどか「わーっ、わーっ!ダメダメ、ほむらちゃん!」

まどか「さやかちゃんからナイショって言われてるんだ。気付かないフリしてあげて……」

ほむら「ふふ、分かったわまどか」

マミ「?」

  ほむらは微笑む。
  今この瞬間だけは、魔法少女や魔女の事を忘れ、普通の少女でいられた。
  好きな人に告白する友人を見送る、普通の少女で。
79 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月09日 (木) 01:24:33 ID: 9ByqYJQ.
これで今日の分は終了です。
個人的にはさやか&紅玉&ヤムライハの失恋人魚トリオが好きです。
ちょっと今後の展開もさやかびいきになるかもしれません。
既になってますね、スミマセン。
81 : 以下、名無しが深夜にお送りします sage 2014年01月09日 (木) 14:30:44 ID: Ig/8vlZs
さやかageは構わないけど周りsageないようにね
82 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:26:42 ID: g/CXj9Gg
>>81
その辺は十分配慮したいです。
あんまりさやかちゃんを活躍させすぎて他のキャラがふがいなく見えてしまってもアレなので、バランス上手く調整しないと……
83 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:27:23 ID: g/CXj9Gg
さやか(……よしっ!)

  病院内。深呼吸をし、さやかは恭介の病室に入った。

さやか「やあ……恭介」

恭介「さやかか。毎日悪いね」

さやか「ううん、好きで来てるから……それより恭介、もうすぐ退院だって聞いたけど」

恭介「足の方のリハビリは順調だからね。しばらくは松葉杖になると思うけど」

恭介「腕の方はもう諦めたよ。でも左手を訓練すれば箸も使えるし文字も書けるから」

恭介「両手を使うバイオリンは、もう無理だろうけどね……」

さやか「あのさ、恭介。あたし恭介のバイオリン大好きだったよ」

恭介「そうかい。でも、それはもう無理だよ……」

さやか「あたし、自分が好きなのはずっと恭介が奏でる音なんだって思ってた」

さやか「でも、よく考えたら……多分違うんじゃないかなあって……」

  さやかは拳を握り締めた。
84 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:28:25 ID: g/CXj9Gg
さやか「あたしが、その……す、好きなのは、バイオリンをしてる恭介だった」

さやか「バイオリンの事ばっかり考えて、一生懸命で、まっすぐで、キラキラしてて……」

恭介「止めてくれ、さやか……もう戻らないんだ……」

恭介「あの日々も、バイオリンが有った頃の僕も、もう戻って来ないんだよ!」

さやか「そうだね。戻ってこない……だから進まなくちゃいけない」

さやか「前には戻れない。でも前にも進めないから、あたしも恭介も苦しいんだ」

恭介「前に進むってどうやって!」

さやか「……腕の事も、バイオリンの事も諦めて。そうしていればきっと何か見つかるはずだよ」

さやか「バイオリンと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、恭介がキラキラ出来る何かが」

恭介「そんな事……!」

さやか「無理じゃない!あたし、信じてるから!恭介はバイオリンだけじゃないって」

さやか「あたしもう一度、キラキラしてる恭介が見たいの!」

さやか「――恭介が好きだから!!」
85 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:28:56 ID: g/CXj9Gg
杏子「おお、アンタ、えっと……」

さやか「さやか……美樹さやか……」

杏子「そうそう、さやか。そういやお互い名乗ってなかったな。アタシは佐倉杏子だ」

  言いたい事は全て言ったさやかは、病院の前で杏子と出くわした。

杏子「顔色随分悪いじゃねえか。そんなんじゃ魔女につけこまれるよ?」

杏子「言っとくけど、アタシの仕事増やすようなことだけはするんじゃねーぞ」

さやか「あ……あんた何でこんな時に限ってちょっぴりだけ優しいのよ……」

杏子「はあ?」

さやか「あたし、言っちゃった……全部、終わっちゃったよ……」

  さやかの目からボロボロと涙がこぼれる。

さやか「うぅっ……うええ……ぐすっ」

杏子「えっ!どうしたんだよおい待てよ!」

まどか「さやかちゃん……?」

  まどかが心配そうな顔で、杏子とさやかを見ていた。
86 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:31:36 ID: g/CXj9Gg
杏子「おお、アンタ、えっと……」

さやか「さやか……美樹さやか……」

杏子「そうそう、さやか。そういやお互い名乗ってなかったな。アタシは佐倉杏子だ」

  言いたい事は全て言ったさやかは、病院の前で杏子と出くわした。

杏子「顔色随分悪いじゃねえか。そんなんじゃ魔女につけこまれるよ?」

杏子「言っとくけど、アタシの仕事増やすようなことだけはするんじゃねーぞ」

さやか「あ……あんた何でこんな時に限ってちょっぴりだけ優しいのよ……」

杏子「はあ?」

さやか「あたし、言っちゃった……全部、終わっちゃったよ……」

  さやかの目からボロボロと涙がこぼれる。

さやか「うぅっ……うええ……ぐすっ」

杏子「えっ!どうしたんだよおい待てよ!」

まどか「さやかちゃん……?」

  まどかが心配そうな顔で、杏子とさやかを見ていた。
87 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:32:17 ID: g/CXj9Gg
杏子「い、いや……これは別に、あたしが泣かせたわけじゃ」

まどか「うん。分かってるよ。前に進んだんだね、さやかちゃんは」

さやか「うん。でも、ダメだったよ……恭介のリアクションで何となく分かるもん」

まどか「そっか。でも、長い間……がんばったんだね、おつかれさま」

さやか「うん。あたし、がんばったんだよ、がんばったんだよ~……」

  さやかは倒れこむようにまどかに抱きつく。

まどか「うん。わかってるよ。わかってる……」

まどか「あれ?何でわたしまで、涙が……」

  まどかも、さやかを抱きしめた。

杏子「………………………」

  泣きながら抱き合う二人を、杏子は複雑な表情で見つめていた。
88 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:32:54 ID: g/CXj9Gg
さやか「みっともないとこ見せて、悪かったね」

まどか「ううん。それを言ったら、わたしもっとみっともないとこさやかちゃんに見られてるもん」

さやか「まー、それもそっかー」

まどか「あっ。ひどーい、さやかちゃん」

さやか「冗談だよ。ありがと、まどか。それから……杏子も」

杏子「べ、別にあたしは何もしてねーよ。事情もよく知らないし」

杏子「でもアンタ、魔法に頼らなかったんだな。それは偉いじゃん」

さやか「まあ……まだ、これでいいのかなー……とは思ってるんだけど……」

杏子「もしかしたらアタシも、魔法になんて頼らない方が良かったのかもな……」

さやか「でも……アンタが魔法少女にならなかったら、きっとあたしとは会わなかったよ」

さやか「アンタが魔法少女になったおかげで助かった人はきっといる。ワルプルギスの夜だって」

杏子「あっ、そうだ思い出した!アンタ、あのクソムカツクガキはどうしたんだ?」

さやか「ガキって……アラジン?学校で別れてから会ってないけど?」

まどか「アラジン君に、何かあったの?」
89 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:33:26 ID: g/CXj9Gg
杏子「ワルプルギスの夜に備えて、アタシ達は一緒にグリーフシードを集めてたんだ」

杏子「でまあ、そこそこ成果上げて帰るかってなった時、あのガキが」

杏子「アンタにハンバーガーおごってもらってから帰るってマミと別れたんだ」

さやか「あれから一度もアラジンには会ってないんだけどなぁ」

まどか「まさか、迷子になってるんじゃ……」

杏子「近くでウロウロしてるかもしれねーし、ちょっと探しにいくか」

さやか「あ、あんた……意外にいいやつだね」

杏子「うるせーよ」

  三人は、病院を出た。

杏子「三人一緒に固まっててもしょーがないし、手分けして探そうぜ」

まどか「わかった!」

さやか「迷子取りが迷子にならないようにね!」

杏子「何だよ迷子取りって」
90 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:34:00 ID: g/CXj9Gg
杏子「ったく……あのガキ、どこに行きやがったんだ」

杏子「第一、一人で行かせるマミもマミだぜ。いくら病院のすぐ近くだからって」

杏子(でも、マミとあのガキが別れた場所から病院までは道も簡単なんだよな)

杏子(あの小賢しいガキの事だから、マミにウソついて別の所に行ってんのか?)

杏子(マミには言えないような危ない場所とか……いかがわしい場所とか?)

杏子「!」

  向こうにアラジンらしき姿を見て、杏子はとっさに隠れた。

杏子(ってアタシ……何で隠れてんだか。まあ人違いかもしれねえし)

  杏子はアラジンらしき人影をじっくりと見る。
  間違い無く、その姿はアラジンであった。

杏子(何かただならぬ雰囲気だな……ちょっと様子を見てみるか)

  杏子は物陰に隠れ、耳をすませる。

アラジン「探したよ、キュゥべぇ君」

アラジン「君と真実の言葉で語り合いに来たんだ」
91 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:34:30 ID: g/CXj9Gg
杏子(アラジンと……キュゥべぇ?)

  アラジンとキュゥべぇが向かい合っている。

キュゥべぇ「僕はいつでも、嘘偽りのない事を話しているんだけどなあ」

アラジン「でもまだ、魔法少女達には話していない事があるよね?」

キュゥべぇ「訊かれていないからね。彼女達が戦うのには全く必要ない情報だから」

アラジン「じゃあ僕が質問したら、答えてくれるかい?」

キュゥべぇ「構わないよ。どういう事なんだい?」

アラジン「そうだね、色々あるけどまずは……」

アラジン「ソウルジェムと、グリーフシードについてさ」
92 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:35:04 ID: g/CXj9Gg
杏子(おい……マジかよ……)

杏子(ウソだろ……?)

  キュゥべぇがアラジンに語った「真実」。
  それは魔法少女の杏子には信じたくないものであった。

ほむら「知ってしまったのね……貴方」

杏子「!?」

  杏子は振り返る。
  いつの間にかほむらが後ろに立っていた。

杏子「ほむら……お前もまさか、この話を……」

ほむら「いいえ、最後の方しか聞いていないわ。でも……この事は知っていた。ずっと前から」

杏子「何で言わなかったんだよ、そんな大事な事!!」

杏子「あたし達の本体はこのソウルジェムで!ソウルジェムさえ壊れなきゃ首がもげても生きていける!」

杏子「そんなのもう人間じゃねーじゃねえか!」

杏子「しかもソウルジェムの穢れが限界に達した時、あたし達は……!」
93 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:36:00 ID: g/CXj9Gg
ほむら「杏子、それは……」

アラジン「どうしたんだい?」

  アラジンとキュゥべぇが、声を聞いて二人の方へやって来た。

杏子「なあ、ガキ、キュゥべぇ。今のソウルジェムとグリーフシードの話……」

キュゥべぇ「僕が話した事は全て本当さ。それにしても杏子、盗み聞きとは感心しないなあ」

杏子「アンタがしでかしたことに比べたらだいぶマシだろ?」

杏子「本当なら今すぐアンタをグチャグチャにしたいとこだけど、ガキの教育に悪いからな」

アラジン「やっぱり、杏子さんも……このやり方は許せないんだね」

杏子「当たり前だろ!?魔法少女なら誰だって許さないはずだ!マミだってこんな話聞いたら」

杏子「おい、ガキ……まさか、マミにもこの事を話そうって言うんじゃないだろうな?」

アラジン「ダメかい?」
94 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:36:58 ID: g/CXj9Gg
アラジン「この事は、魔法少女はみんな知るべき真実だ。もちろんマミおねえさんも」

杏子「やめとけ!いいか、絶対マミには話すな!」

ほむら「私も反対よアラジン。巴マミは……この真実に耐えられるほど、強くはない」

アラジン「でも……だからって、何も知らせないのかい?」

ほむら「馬鹿な事言わないで。巴マミがその真実に絶望したらどうするの」

ほむら「真実を受け入れられずに自ら死を選んだとしたら、貴方は責任を取れるの?」

アラジン「それは……」

ほむら「お願い。この事は、絶対に巴マミにだけは知らせないで頂戴……」

  アラジンは、力なく頷くしかなかった。

杏子「……ったく、イヤな話聞いちまったぜ。ちょっと食い物調達してくるか」

  そう言って杏子はその場を去った。
  杏子のソウルジェムから出る魔力は、明らかに変質していた。
95 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月10日 (金) 00:40:22 ID: g/CXj9Gg
見返したら重複が……すみません……
とりあえず今回の分は完結です。
なんかアラジンがものすごいKYですが、そこは深夜アニメと少年漫画(アニメは日5)の壁という事で……
96 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:10:25 ID: 2j.Qls3A
さやか「あっ……杏子!」

まどか「アラジン君、見つかった?」

  さやかとまどかが杏子に駆け寄った。

杏子「えっ?あ、ああ、見つかったよ。ちょっとマミに言えない用事があったんだと」

杏子「今はほむらと一緒だから、多分マミの所に帰れるだろ」

まどか「そっか……それならよかった」

さやか「あれ?杏子、顔色何だか悪くない?」

  杏子の表情は引きつり、額からは冷たい汗が流れている。

杏子「ちょっとね。魔女退治の後にガキ探しだろ?だいぶ疲れちまってさ」

杏子「一人でゆっくり休みたいから、悪いけどそっとしといてくんない?」

さやか「あっ……ごめん」

杏子「じゃあな。そうだ、アンタら……くれぐれも、魔法少女だけにはなるんじゃねえぞ」

さやか・まどか「?」

  杏子はそう言い残し、夕闇の街に消えた。
97 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:11:09 ID: 2j.Qls3A
さやか「………………………」

  ある朝の教室、さやかはやけに緊張した様子で座っていた。

まどか「どうしたの?さやかちゃん」

さやか「実はね、親から聞いたんだけどさ。恭介、今日学校に来るんだって……」

まどか「え、ええっ!」

さやか「あーっ!あれから一度も会ってないのに、何て言えばいいんだろう……」

まどか「そうだね……た、退院おめでとう、とか……?」

  その時、教室のドアが開いて恭介が入ってきた。

恭介「や、やあ……さやか」

さやか「きょ、恭介!退院……おめでとう」

まどか「そのまま言うんだ」

恭介「放課後……時間、あるかな?」
98 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:11:44 ID: 2j.Qls3A
さやか「あああー!何だか行くのが怖いよ……」

まどか「お、おちついてさやかちゃん……途中までわたしがついて行くから」

  授業が終わった後、まどかとさやかは恭介から待ち合わせ場所に指定された公園に向かっていた。

さやか「うん。こうなった以上覚悟はしなくちゃ。どんな言葉が返ってきてもあたしは受け止めるよ」

まどか「その意気だよ、さやかちゃん!」

まどか「それじゃあ、もう少しで公園だから、わたしはここで!」

  そう言うとまどかは笑顔で走り去る。

さやか「あっこらまどかー!うらぎりものー!」

  その後姿をさやかは追いかける。

??「……さやか?」

  その時さやかの後ろから、声がした。
  恭介だった。
99 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:12:41 ID: 2j.Qls3A
恭介「いきなり呼び出して、悪いね」

さやか「う、ううん、別に。こうなることは、分かってたって言うか……」

  公園のベンチに二人は並んで腰掛ける。
  すでに辺りは夕方になろうとしていた。

恭介「この間は……その、何も言えなくて、ごめん……驚いちゃって」

さやか「いや、いいよ……あたしも、逃げちゃったから」

恭介「でも、今まで怪我人の僕に気を遣ってばかりだったさやかが、僕に本音をぶつけてくれた」

恭介「それは、すごく嬉しかったよ」

さやか「い、いや、あはは……」

  さやかは笑ってごまかす。顔は段々赤くなってきていた。

恭介「さやかは、恐れずに僕にまっすぐぶつかってくれた……」

恭介「それに対して僕は、本音で返すのが礼儀だと思う」

恭介「聞いてくれるかい?僕の気持ちを……」

  さやかは、ゆっくりと頷いた。
100 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:13:16 ID: 2j.Qls3A
恭介「僕は、好きとか、嫌いとか……そういった恋の話が、よく分からないんだ」

恭介「胸が高鳴るだとか、その人の事で頭がいっぱいとか……そういうの体験した事が無くて」

恭介「さやかの事は、好きか嫌いかと言われれば好きだと思う。だけど恋じゃない」

恭介「もちろん感謝はしてる。これからも仲良くしていきたいと思ってる」

恭介「だけど、それは……友達として、家族のような存在としてなんだ」

さやか「そっか……」

  「恋じゃない」そう断定され、さやかは言葉に詰まる。

さやか「でも何か、薄々そうなんじゃないかなーって思ってたんだ。言ってくれてありがと」

恭介「こちらこそ……今まで、本当にありがとう」

  恭介はさやかに、紙の束を手渡した。

さやか「これは……?」
101 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:14:07 ID: 2j.Qls3A
恭介「『僕は、バイオリンだけじゃないって信じてる』……さやかはそう言ってくれたね」

恭介「だから僕は考えたんだ」

恭介「バイオリンが弾けなくなっても、バイオリンを通じて僕が築いたものは無くならないって」

恭介「それを生かして、僕に何が出来るだろう……さやかの気持ちに応えるにはどうすればって思ったら」

恭介「さやかの笑顔や、励ます声や……メロディが、浮かんできたんだ」

  恭介が渡した紙は、手書きの楽譜だった。

恭介「もちろんまだ未熟だけどさ、一応さやかをイメージして作った曲だから、さやかに」

さやか「………………………」

  さやかは、熱心に楽譜を読んでいる。

恭介「ど、どうかな……?まあ作曲なんて初めてだから、その辺りは大目に」

さやか「うん、いいと思う。優しくて、繊細……恭介のバイオリンみたい。これが恭介の音なんだね」

さやか「ただちょっと、聞いたことあるフレーズが混ざってるかな?」

恭介「て、手厳しいね」

さやか「まあね。だってあたし、これからも恭介に作曲続けてほしいもん」

さやか「今の恭介、すごくいい顔してるから」
102 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:15:01 ID: 2j.Qls3A
さやか「……まどか!」

  恭介と別れ、しばらく歩いていたさやかはまどかとばったり出くわした。

まどか「やっぱりさやかちゃんが心配で、待ってたんだ。その、どうだった?」

さやか「どうだったも何も、予想通り!フラれちゃいました!」

さやか「なんかさー、恋ってのがよく分かんないんだって。まあバイオリン一筋だったし仕方ないか」

まどか「そっか……なんかごめんね、さやかちゃん」

さやか「? なんでまどかが謝るのさ」

まどか「わたしも、恋ってよく分からないから……さやかちゃんに何て言ったらいいのか分からなくて」

  恥らうまどかを見てさやかは、にんまりと笑う。

さやか「あーもう、まどかはピュアだなぁっ!」

  さやかは、まどかに抱きついた。

まどか「もーやめてよー!さやかちゃん!」

さやか「いいや、今回の件で確信した!まどかはやっぱりあたしのヨメだ!」

  そして二人は、笑いながら家路に着く。
  だがさやかの笑顔にわずかにかげりがあった事にまどかは気付かなかった。
103 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:16:56 ID: 2j.Qls3A
さやか「これで……よかったのかな……」

  まどかと別れた後、さやかは深い溜息を吐いた。

さやか(あたしは、やろうと思えば恭介の怪我を治せた。でも、それを伝えなかった)

さやか(もう一度バイオリンが弾けるかもしれないって言ったら、恭介はやっぱり喜ぶかな?)

さやか(魔法少女にならないあたしを、責めるかな……?)

  下を向きながら、さやかは歩く。
  石畳の模様が消え、真っ黒な影になっていく。
  気付けばさやかは影絵のような空間の中にいた。

さやか「これは……まさか、魔女の結界?」

  黒い影がさやかに伸び、さやかの体に絡みつく。

さやか「いやぁぁっ!」

  さやかは、黒い影に引きずりこまれていく。

さやか(これは、使い魔……?それとも魔女の攻撃?あたし、死んじゃうのかな……)

さやか(あたしが恭介に魔法の事言わなかったから……魔法少女にならなかったから、バチが当たったのかな)

  さやかが目を閉じようとした時、赤い光が見えた。
104 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:17:38 ID: 2j.Qls3A
杏子「大丈夫か!?」

さやか「あ、あんた……なんで……」

杏子「マミ達と手分けして魔女探ししてたら、アンタがホイホイ結界の中に入っていくのが見えてな」

杏子「思わず飛び込んじまった。ったく、心配かけんじゃねえよ」

  黒い影をなぎ払ったのは、杏子だった。

さやか「ご、ごめん……本当に、ありがとう」

杏子「全くだ。奇跡にも魔法にも頼らないって決めたんなら、もっと堂々としやがれ」

杏子「結局魔女に付け入られて、魔法の世話になるなんて笑えるな」

さやか「うう……悔しいけど、その通りかもね……これからは気をつけるよ」

杏子「そうか、ま、せいぜい頑張りな。じゃあアタシは向こうにいる魔女を倒してくるか」

杏子「悪いけどアタシは、マミみたいに親切な魔法少女じゃねえ」

杏子「アンタも元魔法少女見習いなら、自分の身くらいしっかり守りなよ?」

  杏子は影の魔女めがけ、駿馬のように駆けだした。
105 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:18:20 ID: 2j.Qls3A
  杏子は黒い触手のように迫る使い魔を、槍でなぎ払っていく。
  時にその使い魔が、腕を、脚を、傷つけていくのも構わずに。
  その使い魔がさやかに迫る前に、全て。

  その鬼気迫る戦いを、さやかは目に涙を浮かべながら見守るしかなかった。

杏子「――よし抜けたぁ!喰らいやがれ!!」

  杏子の槍が、魔女を捕らえる。魔女はあっけなく貫かれた。

杏子「ホントだ……意識したら全然痛くねえ。アタシ、ホントに人間やめたのな」

  杏子は大げさに溜息を吐き、もう動かない魔女を踏みつけた。

さやか「杏子、ケガ……」

杏子「いいよ、アタシ魔法少女だから。まあほむらやらと比べると治りは遅いけど、これくらい勝手に回復するさ」

さやか「でも血が」

杏子「いいって!アンタは人間だから分からねえけどな、アタシは大丈夫なんだよ!!」

  杏子はさやかが駆け寄り差し伸べようとした手を払いのけ、どこかへ歩いていった。

さやか「杏子……」

  さやかは目から大粒の涙を流しながら、杏子の後姿を見ていた。
  もう二度と会えないような気がして。
106 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:19:54 ID: 2j.Qls3A
マミ「アラジン君、魔女はいた?」

アラジン「ううん……マミおねえさんは?」

  魔女探し中のマミは、その途中でアラジンに会った。

マミ「私も成果は無いわ。暁美さんからも佐倉さんからも報告はないし……」

アラジン「今日はもう遅いし、最初の場所に戻ってホムさん達が戻るのを待つかい?」

マミ「いいえ。もう少し魔女を探してみるわ」

アラジン「頑張るんだね。マミおねえさんは」

マミ「ふふ。魔女退治は私にとって生きがいと言っても過言ではないもの」

マミ「事故で両親が死んで、途方に暮れた私に、キュゥべぇは魔女を倒すように言った」

マミ「最初は怖かったけど、こんな私でも誰かの助けになれると思うと、とたんに居場所ができた気がして」

マミ「最近では、私の辛かった事や悲しかった事もこのためにあったんじゃないかって思えるようになったの」

アラジン「そうかい。僕の『マギ』としての役目と、同じだね……」

マミ「……マギ?」
107 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014年01月14日 (火) 23:21:52 ID: 2j.Qls3A
アラジン「あっ、そっ、それはね、ぼ、僕の世界での魔法使いの呼び名さ……」

アラジン(学院ではきちんと隠していたのに、ついつい言ってしまったよ。危なかったぁ……)

マミ「そう。アラジン君も私も、役目を支えにして生きているのね」

マミ「……暁美さんと佐倉さんは、どうなのかしら」

アラジン「ホムさんと……杏子さん?」

マミ「ええ。私とは佐倉さんは昔、一緒に戦っていた事があるの」

アラジン「えぇっ!?」

マミ「そんなに、驚くような事かしら……」

アラジン「ごめんよ、だって杏子さんとマミおねえさんって正反対な感じだから……」

マミ「あの子は昔は、家族思いで正義感の強い子だったのよ?」

マミ「貧乏な家を助けるために契約して、人を助けたいって一生懸命魔女退治もしてた」

マミ「でも彼女の家族はそれを快く思わず……彼女を残して、家族は全員死んでしまった」

マミ「そしてあの子は私の前から去り、変わってしまった……自分だけのために魔法を使うようになったの」


記事タイトル:

②まどか「まど」アラジン「マギ!」/クロスオーバーSS「魔法少女まどか☆マギカ」×「マギ」

関連ワード :

アラジン

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