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TVアニメ「ジョジョ」の面白さはビジュアルディレクターによる仕業だった!その仕事内容とは?

TVアニメ「ジョジョ」の面白さは、ビジュアルディレクターによる仕業だった!その仕事内容とは?

TVアニメ「ジョジョ」の面白さは、ビジュアルディレクターによる仕業だった!その仕事内容とは?

 中毒性のある音楽、ビビッドな色使い、オノマトペ(擬声語)が入る斬新な演出、キャストの熱演。どこを斬っても原作同様に楽しめるTVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ。一昨年の放送開始以来、人々を虜にしてやまない。今期シリーズ「スターダストクルセイダース」も好評を博している。

 その面白さのひとつに、ある特殊なスタッフが絡んでいることをご存じだろうか。

 アニメ一期のスタッフクレジットに“ビジュアルディレクター”という文字があった。名前はソエジマヤスフミ氏。現行シリーズでは、絵コンテ・演出・美術設定として関わっている。

 見慣れない役職である。いったいどのような役割を担っているのだろうか。
 シリーズ最終回へ向けて多忙を極める制作会社david productionを訪れ、謎の人物の正体を暴くことにした!


■アブノーマル担当……?

「普通の作品作りではないアブノーマルな提案をする役割でしょうか」とは、ソエジマヤスフミ氏。TVアニメ「ジョジョ」のビジュアルディレクターを務めた人物である。

 アニメ製作における、アブノーマル? さっぱり分からないぞ!

「そうですね。アニメにおける美術関連の役割から説明しましょう。美術というのは、キャラクター以外の背景などを担当します。舞台美術のように考えればわかりやすいでしょう。キャラクターが芝居するために必要な空間をつくることです。舞台セットや小道具。さらに芝居を印象的なものにするために、窓の位置や照明などを考え、役者にどう演出的ライティングを施すのか。面白いガジェット(小道具)を持ち込み、※ヴァニタス画的恣意性を入れ込むかが、画面の厚みに繋がります」(ソエジマ氏・以下同)

※ヴァニタス画とは、中・近世のヨーロッパの静物画。死を意味するどくろや、人生の短さを表す砂時計など。なにげないフレームの中に、深い意味を込めること


■アニメにおける美術とは?

 このような美術の役割のなかで、もっとも先に着手するのが、美術設定というポジションだ。

「美術設定というのは、芝居全般の作戦図を描く役割のひとつです。ストーリーと演出意図を考え、それとシンクロするデザインポリシーは何かを掘り下げること。そしてどんな空間にするのか、どのくらいの広さなのか? 時代は? 趣向は? など芝居においてベストな様相を持たせます。それが決まったら美術監督にバトンタッチします。コンテ演出に合わせた美術ボード、その美術背景が出るシーンの指標となるキービジュアル、そして各カットの美術背景の着彩に取りかかってもらいます」

 作品作りの順番はこうである。企画がスタートすると、監督が各スタッフを指名。監督のコンセプトを受け、脚本が上がってくる。そこで、キャラクター関連はキャラクターデザインへ。美術は、美術設定が全体のニュアンス、空間の設計などをおこない、美術監督がその質感を決めていく。

 画面をどのような雰囲気に設計するか。その作業は原作に照らし合わせながら行う。

「『ジョジョ』の場合、原作があります。アニメ化にあたり、原作に描かれてないすきまを埋めなければなりません。そのためには、荒木飛呂彦先生の世界観をまず把握します。例えば荒木先生は、感情が高まった際には、キャラの唇を青色にしたり、肌色がピーキーに変わったりします。独特のオノマトペもそうです。すきま埋めにあたり、その世界観を掘り下げ、それに合うガジェットをはめこみます」

 またアニメとして見ごたえのあるものにするため、オリジナルな演出も盛り込むことも。その際も、荒木先生の世界観に照らし合わせて行うとのこと。具体的に見ていこう。


■現実と作品の世界観をミックス

 今シリーズ第5話。承太郎一行が香港でポルナレフと対決するシーン。背景は、タイガーバームガーデンだ。その奇々怪々な雰囲気で印象に残っている人も多いだろう。

「タイガーバームガーデンは、元々、仏閣やイスラム建築が並んでいたり、奇妙なものを一箇所に寄せ集めたような空間でした。すでに閉園しているため、写真を集めて過去の姿を確認します。しかし、ただ再現するだけではありません。荒木先生のテイストにするとどうなるか。荒木先生の作風へとブラッシュアップする必要があります。そこで色彩は鮮やかに。また先生はよくミュージシャンへのオマージュで、“仏像の手のひら”のようなものをよく描いていました。ガーデンには手のひらを置くことにしました」

 現実に沿うだけではなく、原作とミックスし空間を創りあげる。これが美術設定の腕の見せ所だ。
 さらに脚本に沿い細かく空間を肉付けしていく。

「脚本には、ポルナレフと戦いアヴドゥルが吹っ飛びます。そのためには、どれくらいの広さが必要か割り出していきます。ガーデンの大きさを決めていきます。この作業は家の間取りを考える作業と同じです。“何歩”歩けば端から端まで到達するのか。天井の高さはどうか。例えば、第一部のジョナサンの屋敷。ディオが“ジョジョ!”と叫びながら飛び上がっても、天井が低ければ頭をぶつけて芝居になりません。芝居に必要なだけの空間を設計します」

 美術設定を行うのは、通常の背景作画のスキルだけではなく、アーティスティックかつデザインセンスがある人が任されることが多いという。

 ここまでが普通の美術設定の役割である。では、ビジュアルディレクターとは、何を担当するのか。


■作品の流れからあえて逸脱

「普通の美術設定や美術監督は、作品の流れから説明できることを提案することが多いです。それに対して、ビジュアルディレクターは“ただおもしろい!”というだけで、無理矢理押しつけるのが仕事です(笑)」

 通常は考えられないような演出を施すのがビジュアルディレクターの仕事という。第一部で、ディオがゴロツキに石化面を付けるシーン。

「それまでは、スラム街という日常的シーンです。しかし、石仮面が発動しゾンビ化したとたん、ガラリと雰囲気が変わります」

 街の彩度がなくなり、背景はポイントに色を残すのみでモノトーンでダークに。しかし殴られた衝撃や振り飛ばされる効果は、とてもビビッドキャラクターはそのなかでビビットな色合いに。色のコントラストからとても鮮烈な印象に。

「ほかにも、ディオが奇声を発すると、画面のすべてがモノトーンに。しかし目だけ金色に。さらに血しぶきにだけ赤い色がついている、このようなイレギュラーな演出を行いました」

 このようにシーン丸ごと特殊な色彩的演出を行うことを、「シーン特色」という。もっと細かい「カット特色」も手がけるという。

「カット特色は、1枚の絵画に近い見せ方をします。“バーン”と殴られたショックのようなインパクトを画面に表すような色彩とパターン(文様)を盛り込む感じです。一部、二部では、キャラクターが思索したり、不安を感じたとき、動的な模様や渦巻きとヴィヴィッドな色彩で表現しました。この模様は例えば2部の場合、柱の男たちのシーンはアステカ的な様式を取り入れたもの、ローマであればロマネスク、NYであればNYアールデコといった具合です。色彩に関しては、荒木先生のカラー原稿とずっとにらめっこしつつバランス取りしました。そうすることで、原作の持ち味を深め、見ている人に面白いと感じてもらえると思ったからです」


■理解不能と言われることも

 通常は作画でリアルに描くところを「グラフィカル」、より視覚効果の高い演出を加えていくのが「ビジュアルディレクター」の仕事だという。

「このような個性的な見せ方は通常、監督がアイディア出しをします。ただ今回のように作品の規模が大きいと、全方位的に見渡すことができません。そのためビジュアルディレクターを設けたのですまた私が呼ばれるときは、アニメにないアイディアを求められることが多いですね。舞台やアートなど違うジャンルからネタを引っ張ってきて、アニメで融合させる役割です。その結果、作品のカラーを大きく変えることになります」

 物語の流れにないものから、一足飛びに突き抜けたアイディアを提案するのがビジュアルディレクターである。今までにない提案から、美術監督と衝突することもしばしばだとか。

「なるべく誠意ある説明を心がけています。でも、突拍子もない提案も多く、美術監督から『全然わかんないっすよ!』と言われることもしばしば。でも斬新なものをつくり出すには、お願いして作って貰うしかありません」

 「ジョジョ」では不安や悪意を表すシーンに登場した渦巻き模様。とあるシーンでは、渦巻きの模様は大きい。しかし別なシーンでの渦巻きは小さい。なんでいちいちそんなことを、しなければならないのか。突き詰めて考えると理屈に合わないことは多い。しかし、視聴者に驚きや喜びを与えるには、ときに乱暴なお願いをするという。

「最初は試行錯誤の特殊効果でしたが、2部の途中からシーン特色、カット特色の“型”のようなものが見えてきました。一、二部と手探りでつくりあげたビジュアルコンセプトは三部でも引き継がれています」

 アニメ通をもうならせる『ジョジョ』の出来栄えは、ソエジマ氏の知恵によるところが大きい。


■正体はマルチクリエーター

 ところでソエジマ氏は、アニメだけではなく、舞台のポスターや、ミュージックビデオの製作も行っている。
 世界で活躍する音楽ユニットPerfumeの出世作「ポリリズム」のPVのCG演出でもある。

 ジャンルに捕らわれない仕事はどのように行っているのか。

「腰の座らない仕事の仕方をしていまして。本当は油絵の画家になりたかったのですけど、今どき油絵は売れないと油画の師匠に言われ、度胸もなかったのでじゃあゲームでもつくるかと、ゲーム会社で働いたのが初めての仕事です」

 美術大学を出て、映像に興味を持ったソエジマ氏。まずはゲーム製作のスタッフに。次第に実写やアニメにも手を広げていったという。

「仕事は声がかかるというより、自分でプレゼンしにいくことが多かったですね。そしてストレンジを求める方に拾ってもらうことが多かった。でも現場では大抵言われるのが“お前はこの業界をわかっていない”ってニュアンスの言葉です。アニメでも実写でも伝統的なセオリーを知らないのかと。でも僕は元々飽きっぽい性格。新味のあることをやらないと、ストレスが溜まるんです。ルーチンワークは苦手です。一見アニメとは関係のないような実写ベースのポスターづくりをしていても、突然アニメにつながるようなアイデアを拾うこともあります。また逆にアニメで得たアイデアが実写ベースに活かせることも。現場で嫌がられるメンドイことは多いですが……。お陰さまで最近は『斬新なものが欲しい』という依頼が来るようになりました」

 アニメや実写、ビジュアルデザインとジャンルに縛られることなく活躍するソエジマ氏。クリエーターとしては異色の存在である。だがアニメ界が進化するためには、このような外の風も必要なのかもしれない。

 おもしろいアニメに、おもしろい作り手あり。今後アニメを見る際に、クレジットにある「特殊スタッフ」に着目してみるのも面白いだろう。

取材・文=武藤徉子


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TVアニメ「ジョジョ」の面白さはビジュアルディレクターによる仕業だった!その仕事内容とは?

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