・冒頭文
「そんなバカなぁぁぁぁ!」
アニメ版第1作『シスタープリンセス』の主人公、海神航の口癖です。
このセリフが似合うキャラクターもそういますまい(まあ似合ってよいものではないんですが)。
作品の語り部として登場した海神航。それまでの彼は、勉強漬けの毎日、エリートを目指してひた走るだけの生活を送っていました。しかし受験失敗を切っ掛けに、彼を取り巻く周囲の環境はガラリと変わります。
勉強ばかりしてきたので、一人では何も出来なかった航。そんな彼が妹たちとのふれ合いを通じ、精神的に成長していく姿は、静かな感動を与えてくれます。もうヘタレではない!海神航の成長が伺えるエピソードを抜粋して紹介します。
・第1話「僕のグラデュエーション」
志望校合格間違いなしと思っていた航。しかし、致命的なミスにより落ちてしまいます。
「塾で成績一位の自分が不合格」という現実を受け入れられず、序盤から「そんなバカな!」を連発。
受験失敗に多大なショックを受け、すっかり自信を無くしてしまいます。新天地・プロミストアイランドでの生活を余儀なくされた彼のもとに、妹たちが登場することで物語はついに動き出します。
勉強だけがすべてだった少年の、大きな、大きな変化の始まりです。
・第13話「お兄ちゃんとの夏」
第1クール最後のエピソード。妹たちと夏休み最後の日を過ごす航。彼女らとの生活を振り返るうちに、人として大切な事を思い出していきます。
ゆったりと落ち着いた時間を過ごすこと、誰かに励ましてもらうこと、気遣ってくれる家族の大切さを思い出した航は、妹たちに自分は何ができるのかを考え始めます。
自分のことばかりだった少年が、誰かの為に役立とうとする。序盤では考えられなかった事です。
・第14話「本当のキモチ」
今話から第2クールのスタートです。前話で、「妹たちのために出来る事」を考え始めた航。
何とかして彼女たちの役に立とうと頑張る姿が涙ぐましいです。よくぞ体を張ろうとしてくれた!
電球を探し求めて頑張る姿には感慨深いものがありますね。最初期の航ならすぐに投げ出していたでしょう。
電球を見つけた後も可憐の為に奔走する航。妹に安心感を与える彼は、とても頼もしい兄貴ですね。今回のエピソードで、何気ない日常を共に過ごすことの大切さを学び、さらに人として成長しています。自分にとっては小さな事でも相手には大きな事。物じゃなくて気持ちの大切さを知った航は心の中で呟きます。
「また妹たちから貰った」
・最終話「約束の島」
泣いても笑っても最終回。これまで主人公として活躍してきた海神航の、集大成と言えるエピソードです。
それまで絶対だと思い込んでいたエリートコースと決別し、友人・燦緒の誘いを断った航。
一人の心在る人間として生きていくことを決め、妹たちのもとに帰ってきます。
人生を大きく左右し得る決断を下すこのシーンは、どれほど海神航が精神的に強くなったかが分かる一幕です。
彼の物語はここで幕を降ろしますが、きっと幸せに過ごしていることでしょう。
・おわりに
最初は頼りなかった少年が、兄として大きく強く変化してく様を描いたシスタープリンセス。第1作はまさに、航の成長物語と言っても過言ではないでしょう!