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哀しき過去を背負ったディクロニウス「ルーシー」の魅力とは?『エルフェンリート』

ひとつ先のシーンでさえ、読み手の予想を上回っていく展開。細部まで計算しつくされたストーリー創りに定評のある「ノノノノ」や「極々のブリュンヒルデ」でおなじみの岡本倫先生の初連載作品『エルフェンリート』。

哀しき過去を背負ったディクロニウス「ルーシー」の魅力とは?『エルフェンリート』

 ひとつ先のシーンでさえ、読み手の予想を上回っていく展開。細部まで計算しつくされたストーリー創りに定評のある「ノノノノ」や「極々のブリュンヒルデ」でおなじみの岡本倫先生の初連載作品『エルフェンリート』。思わず目を背けたくなるようなショッキングな描写で話題となり、地上波放映時には大量の残虐シーンを修正・カットされた上で放送されるという伝説を生み出しました。

本作の舞台は「鎌倉」

 いつからか、日本各地で生まれたばかりの幼児の頭部に二本の角が生えるという怪現象が起き始めます。それらはディクロニウスと呼ばれるミュータントで、人類を滅亡させる危険性を孕む存在として、一部の限られた人間だけがその存在を知り、そして恐れられていました。ディクロニウスについては完全に機密扱い。存命する個体は施設に隔離されて研究されていました。しかしある時、その内の1体のディクロニウスの脱走を許してしまいます。

 ルーシーはコウタと並ぶもうひとりの主人公。ピンク色の長く伸ばした髪にすべてを見下すような紅い瞳から放たれる冷たく鋭い眼光。頭部にはまるで髪飾りのように2本の角が生えています。その普通ではない突起物から読み取れる通り、彼女は人間ではありません。

 その正体は人類を滅亡させる危険性を孕むミュータント「ディクロニウス」。ある施設に隔離されていた所を逃亡。その際、警備員や研究員を大量虐殺しました。しかし、施設から抜け出した直後に頭を狙撃されてしまい、一時的に人格が眠ってしまいます。漂流して海岸に流れ着いた所をコウタとユカに助けられました。狙撃されたショックで生まれたもうひとつの人格が「にゅうにゅう」としか言葉を話せない事から、コウタに「にゅう」と名付けられます。

ディクロニウスとは

 ベクターと呼ばれる通常は見えない特殊な腕を持っており、それらを自由自在に操ることが出来ます。高速移動と高周波微振動による切断能力による常軌を逸した力を持ち、それは武器ではなく別な目的を持つと言われています。射程範囲は個体によってバラバラで、ルーシーの場合は射程2メートル。射程範囲が短いほど力が強くなる傾向があります(ルーシーよりもベクターが長いナナの方が力は弱い)。

 ルーシーの場合、対象にある程度距離を置かれると手出しできなくなるので、近くにある物を投げて攻撃することで弱点をカバーしています。物を投げるといっても、ルーシーのベクターの力は凄まじいため、ボールペンや小さなゴミでさえも投げつけられた側は致命傷を負いかねません。そこにある物すべてが凶器へと変貌するのです。隔離されていた施設では「絶対にルーシーの射程範囲内には物を落とすな!」というマニュアルがあったほどです。

もうひとつの人格

 コウタ達と生活している間の大半は、この「にゅう」と呼ばれる人格です。ルーシーの時の残虐性はまったくありません。「にゅう」という一言しか話せず、コウタ達も彼女とのコミュニケーションには苦労しました。無垢で明るい性格で、食べ物を前にして目をキラキラさせてよだれを垂らしたりと愛くるしい癒し成分が多めです。

 コウタが熱で寝込んでしまった時、コウタが欲している「水」の意味が分からず、悩んだ末にスリッパを持ってきて笑顔で「水!」と自信満々に差し出します。後に、ユカが帰ってきた時には、にゅうが持ってきた色々な“彼女が水だと思ったもの”がコウタの周辺に散乱しており、それを見たユカは「何かのおまじない?」と首を傾げました。色々試行錯誤した結果ではあるのですが、コウタをガラクタが取り囲んでいる様はなかなかシュールです(笑)。しかし、辛そうなコウタを助けてあげようと一生懸命立ち回ったり、持ってきた物を得意げに差し出すにゅうちゃんは可愛さ100点満点でした。

楽しかった思い出

 ルーシーがまだ子供だった頃、髪は現在より短いショートカットでした。この頃の彼女は明るくてちょっぴり強気なボーイッシュ風の女の子です。知り合ったコウタと仲良くしたいのに冷たく接したりと素直になれない普通の女の子のようです。しかし、彼に角のことを「カッコいい」と褒めて貰ったり、「コンプレックスなら隠せばいい」と紺の帽子をプレゼントして貰ったりと、次第に心を許し、惹かれていきます。

 コウタに動物園に誘われた時は「動物なんて興味がない」と最初は素っ気無く言いつつも、いざ行ってしまえば出会う動物全てに目をキラキラさせながら感動して大はしゃぎ。それにはコウタも「象やキリンであんなに喜ぶの初めて見た。」とちょっとばかり呆れ気味になるほど・・・。他にも、川で一緒に遊んで服を濡らしてしまい服を乾かす間、背中を付き合わせて一緒に座る、ちょっぴりドキドキする展開もありました。コウタと遊んでいる時の彼女の可愛さに魅了された視聴者は多かったと思います(笑)。

 人類を滅ぼすと言うDNAに刻まれた本能に苦しめられてきた「ルーシー」。ひとつひとつの歯車が噛み合わずに狂っていき、それが悲惨な結末を生んでしまいます・・・。「あの時こうだったら・・・」「あれさえなかったら・・・」と、どうしても考えてしまう・・・そんな切なさがありますね。子供時代のコウタとのひと時だけが唯一の救いでした。

(C)岡本倫/集英社・VAP・GENCO


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哀しき過去を背負ったディクロニウス「ルーシー」の魅力とは?『エルフェンリート』

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