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寡黙な研究室室長?ナナの愛する大切なパパ「蔵間」の魅力とは?『エルフェンリート』

ひとつ先のシーンでさえ、読み手の予想を上回っていく展開。細部まで計算しつくされたストーリーに定評のある、『ノノノノ』や『極々のブリュンヒルデ』でおなじみの岡本倫先生の初連載作品。『エルフェンリート』は

寡黙な研究室室長?ナナの愛する大切なパパ「蔵間」の魅力とは?『エルフェンリート』

 ひとつ先のシーンでさえ、読み手の予想を上回っていく展開。細部まで計算しつくされたストーリーに定評のある、『ノノノノ』や『極々のブリュンヒルデ』でおなじみの岡本倫先生の初連載作品。『エルフェンリート』は思わず目を背けたくなるようなショッキングな描写で話題となり、地上波放映時には大量の残虐シーンを修正・カットされた上で放送されるという伝説を生み出しました。

舞台は「鎌倉」

 いつからか、日本各地で生まれたばかりの幼児の頭部に二本の角が生える怪現象が起き始めます。それらはディクロニウスと呼ばれるミュータントで、人類を滅亡させる危険性を孕む存在として一部の限られた人間だけがその存在を知り、そして恐れられていました。ディクロニウスについては完全に機密扱い。存命する個体は施設に隔離されて研究されていましたが、ある時その内の1体のディクロニウスの脱走を許してしまいます。

本作のもうひとりの主人公とも言うべき存在

 「蔵間」はディクロニウスを隔離している施設の研究室室長です。必死に施設から逃亡を図ったディクロニウス「ルーシー」を捕らえようとしますが、彼女の圧倒的な戦闘力の前に警備員、職員はほぼ全滅。研究所の外へ出たルーシーを遠距離から射殺しようとしますがこれも失敗。その後、海に転落して流され行方不明になったルーシー捕獲のために尽力します。本来は研究対象であるルーシーとは個人的な確執があるようですが・・・?

寡黙な研究所室長

 知的な眼鏡の似合う長身の男。紺のスーツを身にまとっています。表情の変化が乏しく、淡々と職務を全うする仕事人間です。一見優秀そうなのですが、その寡黙さからか一部の職員に『目つきが普通じゃない』などと、ささやれる事も。しかし、彼の秘書である「如月」が『室長は優しい人である』と述べている通り、決して恐い人間ではないのだと思います。1番身近で接している如月だからこそ、本当の彼を知っていたのでしょう。とあるエピソードでは、若かりし頃の蔵間が登場します。その時の彼は眼鏡もかけておらず、とても優しい目をしていました。

ナナのパパ

 施設でモルモットにされているディクロニウス「ナナ」は、蔵間の事を父だと思っています。過酷な実験から心の拠り所を求め、蔵間を父として思い込んでいるそうです。しかし、蔵間自身もそんなナナと接している内に、彼女を本当の娘のように大切に思うようになります。

 ナナは、鎌倉の墓地でのルーシーとの戦いで深手を負ってしまい、もう役に立たないと殺処分が決定・・・。しかし、蔵間はどうしてもナナを殺すことが出来ず、ひっそりと彼女を逃しました。その時、彼女が生活に困らないよう、使い切れないほどのお金を一緒に添えたのですが、施設に隔離されていたナナは一般常識が身についておらず、当然お金の使い方も分かりません。そのため、屋台のクレープすら買うことも出来ずに途方に暮れていました(クレープ代の500円が払えなかったのです。もちろん、彼女のバッグにはお店のクレープをすべて買える程の札束が入っていたのですが・・・)。挙句の果てに、暖を取るために札束を薪にしてしまうという、とんでもない行動に。いくら緊急とはいえ、ナナにお金の使い方も教えずにお金を渡してしまう蔵間室長も、結構なうっかりさんです。

親としての責任

 施設の地下に厳重に隔離されていた最強のディクロニウス「マリコ」。彼女は蔵間の実の娘です。通常、ディクロニウスとして生まれてしまった子どもはすぐに処分されるのですが、蔵間はどうしてもそれが出来ませんでした。これまでずっと、他の同僚や他人の子どもを躊躇なく殺めてきたのにも関わらず、自分がその立場になった途端、それが出来なくなった事に長い間苦悩します。そして、自分の勝手で生かしてしまった娘が残虐な化け物として成長してしまった事の責任を取るため、彼女と一緒に最期を迎えます。今まで自分だけが助かり、多くの命を見捨ててしまった蔵間自身の、最初で最後のけじめだったように感じました。

 彼は、物語が始まるずっと前からディクロニウスに関わっていたキーパーソンです。蔵間のしてきた事は酷く身勝手に受け取られると思いますが、彼自身も、当事者になるまでは心を殺して職務を全うしようと思っていたはずです。しかし、やはりどうしてもその時になると固く誓った決心が揺らいでしまった・・・。そういった部分に心の弱さや人間らしさを感じます。

 他にも、ルーシーが人間に失望してしまう大きな原因を作ってしまいます。それは回避しようと思えばできたのですが、ディクロニウスに人生を滅茶苦茶にされてしまった蔵間としては、その元凶とも言えるルーシーに復讐したかったのかも知れません。

 どんなに感情を押し殺そうとしても、最後まで人間臭さが抜けきれない「蔵間」。色々と考えさせられる『エルフェンリート』という作品の中でも、特に人間らしい魅力を持つ彼を、是非一度ご自身の目でお確かめ下さい。

(C)岡本倫/集英社・VAP・GENCO(公式サイトスクリーンショット)


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寡黙な研究室室長?ナナの愛する大切なパパ「蔵間」の魅力とは?『エルフェンリート』

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